今日は、昨日に引き続いて論作文について書いていきます。
まだ、前回の記事を読んでいない方はどうぞそちらも読んでみてください。
今日は、論作文の書き方について、具体的に説明します。
この記事を読めば、大体どのように書けばよいのか、アウトラインが分かると思います。
では、始めていきましょう!
読みやすい構成を意識しよう
いくら試験であるとは言えど、採点者は何百人という受験者の論作文を採点しなければならず、その負担は容易に察することができます。
その状況で、読みにくい文章が出てきたら、たとえ内容が優れていたとしても、採点する側に良い印象を与えることはできないでしょう。
なので、「読む人にとって読みやすい文である」ことは大前提となります。
勉強法の記事で、できる限り書いたものを他人に見てもらいましょう、と書いたのもそのためです。
この前提を押さえた上で、では読みやすい文章とは何でしょうか。
論理的な文章において、基本とされている型が存在します。
「主張」→「根拠・具体例」→「まとめ」の型が基本
高校の英作文の授業で習った方もいるかもしれませんが、論理的な文章構成は、
- Introduction(導入)
- Body(内容)
- Conclusion(結論)
です。
もちろん、これ以外の型が非論理的であるというわけではありませんが、この型がシンプルで要点を伝えるのに適しています。
これを、論作文用にアレンジしたのが、「主張」→「根拠・具体例」→「まとめ」の3段階です。
それでは、順番にそれぞれの構成で何を書くかを簡単に説明していきます。
1、主張
当然ながら、ほとんどの人は文章を最初から読んでいきます。
ということは、一番にあなたの主張を書くことによって、読み飛ばされてしまうのを避けることができます。(もっとも、読み飛ばすことはないとは思いますが・・・)
自分の最も伝えたい部分である主張をはじめに伝えるのですから、これは理に適った構成と言えます。
具体的には、論作文試験のテーマに対する自分の回答、答えを1文目、ないしは2文目で書いてしまいます。
また、この主張部分にメタファーやスローガンを置いて、「ん、どういうことだ?」と、先を読みたくなるように工夫することもできます。
ただし、この部分は「とにかくシンプル」が重要です。
ズバッと切れ味鋭い主張を展開しましょう。
2、根拠・具体例
冒頭に主張を提示したら、次にその主張を支えるための根拠・理由を書いていきます。
ここでは、自身の経験や何かの調査で得られたデータ、著作からの引用など、自説を補強するためのネタをぶつけます。
ここでインプットの量と質が試されます。
自分のストックしてあるネタの中から、テーマに最適なものを選択しましょう。
この根拠や具体例は、本文全体の半分以上を占める部分で、論作文の質を決めます。
構想メモを作って何で攻めるかをじっくり考えましょう。
3、まとめ
この部分は、1の繰り返しを書くことが一般的ですが、教員採用試験の論作文では少し違います。
この部分で、教員としての意気込み、熱意をアピールします。
とは言っても、突然意気込みを言われても採点側もびっくりしてしまいますので、主張や根拠・具体例と関連した書き方にする必要があります。
この一貫性が文章においては、非常に重要です。
このように展開することで、あなたの書いた論作文は説得力に加えて、魂のこもった文章になっているはずです。
作成例
上に示した3つの段階に沿って、作成すると次のようになります。
この論作文が理想というつもりは毛頭ありませんが、参考にしてみてください。
◯テーマ「あなたの目指す教師像は?」
①私が目指す教師像は「学び続ける教師」です。生徒を教える立場である、教師自身が率先して学ぶ姿勢をを目指すべきであると、私は考えます。
②2022年度から高等学校で実施される新しい学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の重要性が強調されています。生徒たちには、自ら学習し、仲間と協働しながら、学習内容を本質的に理解することが求められています。
③この状況において、教師に必要とされているのは、ただ生徒に知識を教えることだけではなく、生徒を学びへと導いていくことです。アメリカの教育学者ウォードは「最高の教師は子どもの心に火をつける」と述べましたが、今まさにそのような教師が求められています。
④生徒の学習意欲をかき立てるには、十分に練られた発問や、生徒のつまずきに気づく洞察力が欠かせません。これらを磨いていくために、教員には常に学び続ける姿勢が求められます。
⑤「新たに何かを知り、理解して得られる喜び」は人間が生きていく上で重要な経験です。私も、一学習者であり続けることによって、生徒たちが「学ぶ喜び」を経験できるように尽力していく決意です。
(467字)
ベタな回答ですが、だいたいイメージはつかめたでしょうか?
①段落で、自分の答え、主張をバシッと言ってしまう。
②〜④は、主張の根拠を具体的な背景や引用で支える。
この例では、少々冗長になってしまいましたが、このようにして内容を展開していきます。
そして、⑤段落のように最後には、まとめを自身の教員としての決意とともに書きます。
論作文を書くときは、必ず構想メモを作成しましょう。いきなり書き始めるのではなく、どのような構成で書くのかをメモしていきます。その際、上に述べた1)主張、2)根拠、3)まとめのパターンを使ってメモを作ります。
十分構想を練ることができたと思ったところで、一気に清書をしていきます。
まとめ 型にはめながら型にはまらない内容を
ひょっとすると、このワンパターンな型で他の受験者と差別化できるのだろうか?という疑問があるかもしれません。
しかし、型にはまっているからこそ、相手に内容をしっかり届けることができるとも言えます。
本当に避けなければならないのは、内容が型にはまっていることです。
どこかの指南書に書いてあるようなありきたりのことを書くのではなく、自分の考えていることを採点者にぶつけてみましょう。
つまるところ、それが型にはまらないあなただけの論作文になるはずです。