今日は、教員採用試験の中の「集団討論」という試験について説明していきます。
民間企業の採用試験ではおなじみの「集団討論(通称G.D. Group Discussionの略)」ですが、教員採用試験にもこの集団討論が課されることが増えてきました。
今、「チーム学校」というコンセプトのもとで、学校内のさまざまな役割の人同士の協働が重要視されています。
この集団討論試験も、仲間と協働できる人物を採用したいという意向が表れているといえます。
◯この記事でわかること
- 集団討論試験とは?
- 集団討論で気をつけること
- 集団討論の練習方法
「志望する自治体で集団討論があるらしいけど、何をしたらいいか分からない」
「どんなことを気をつけるべきなのだろう?」
こういった疑問を持っているなら、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
集団討論試験とは?
種々の形式
集団討論は、受験者が6〜10人程度集まって、制限時間の中で出されたテーマに沿って議論する、という試験です。
テーマは、必ずしも教育に関するテーマとは限らず、地域ならではのテーマが選ばれたりします。
僕の友人の受験した自治体では、「特産品をどのように外へPRしていくか」という思いっきり町おこし的なテーマが出されたそうです。笑
また、テーマに対する結論を出すことを目的とする場合と、結論は必ずしも出さなくていいという指示を受ける場合とがあります。
また、集団討論ではなく「グループワーク」という形で行われる自治体もあります。
集団討論の3つの難しさ
集団討論を分析していくと、そこには3つの難しさがあるように思います。
ここまで読んで分かったことと思いますが、集団討論のバリエーションは本当に様々です。
なので、1)イマイチ何をみられているか(採点基準)が分からない、というのが正直なところです。
「試験」と言われている以上、受験者の何かがテストされているはずなのですが、それがはっきりしない。
これが、集団討論という試験形態の難しさの一つと言えます。
また、もう一つは、2)テーマに対する議論を深めつつも、一方で面接官のことも意識していなければならない、という点がこの試験を難しくしています。
「面接官はどんな回答を求めているのだろう?」
「こんな発言したら、減点されてしまうのかな?」
こういった考えが頭を駆け巡り、集中して議論を詰めていくこと自体が難しい。
そして3つ目は、3)共に議論するメンバーに、マナー違反をしてしまう人が混ざっていることがあるという点。
議論において、守るべきマナーというものがあります。
例えば、「人が話している最中に話に割り込む」、「人の意見を強く否定する」、「自分ばかり話す」、「話題と関係ない話をする」などですが、これらをしてしまう人が実際にいるようです。
グループを自分で選ぶことはできないので、これは完全に運次第です。
これも集団討論の難易度を上げています。
集団討論で気をつけるべき2つのこと
このようにいくつかの難しい要素をもつ集団討論試験ですが、対策は可能です。
ここからは、集団討論で気をつけたほうが良いことについて説明していきます。
さまざまなノウハウも大事ですが・・・
「集団討論」で調べると、色々なノウハウ・テクニックが出てくると思います。
- 司会は率先してやろう
- タイムキーパーを名乗り出て、アピール
- 係の分担をする などなど
もちろん、それらのテクニックが役に立たないとは言いません。
しかし、集団討論で本当に気をつけるべきことは、もっと本質的な意識の問題であるように思います。
そして、その意識すべきこととは、この2つです。
- 「他の人のことを考える」
- 「真剣に議論に参加する」
・・・何だかとても当たり前のことを書いてしまい恐縮ですが、個人的に、これが意識できていれば集団討論はそれほど難しくないと思います。
では、順に説明します。
1、他の人のことを考える
先ほど、集団討論で何を見られているかはっきりしないと述べましたが、おそらく協調性があるかどうかを見ていることは確かでしょう。
学校に限らず、一つの組織には年齢も育った背景も、考え方も違う様々な人が所属しています。
その中で、みんなが自分勝手に振る舞っていたのでは、組織(チーム)として良いパフォーマンスができるとは言えません。
特に、学校には様々な会議のシーンがあります。
教科会、学年団の会議、校務分掌ごとの会議などなど・・・
集団討論は、「そのような会議の場であなたは実際にどのように振る舞いますか?」と問われているのかもしれません。
相手の立場に立つことを心がけていれば、
- 自分ばかり話したり、自分の経験を必要以上にアピールしたりせず
- 発言回数の少ない人に意見を求める
- 相手の意見に対して、否定するのではなく質問する
などの対応が自然ととれるようになります。
そして、よく考えてみましょう。
この中にいるメンバーは全て、将来あなたの同期になるかもしれない人たちです。
そう考えると、なおさら相手のことを思いやる行動ができるのではないでしょうか。
自分のアピールは面接で思う存分できます。
集団討論では仲間のことを考えて行動していきましょう。
2、真剣に議論に参加する
では、自分中心と思われないように、おとなしく他の人の意見に同調してその場をやり過ごす、というのがベストなのでしょうか。
きっと、皆さんもそれは違う、と思うことでしょう。
2つ目のポイントはここにあります。
どんなテーマであっても、真剣に議論に参加しましょう。
面接官に受けの良い発言を考える必要はありません。
議論を進めるための発言をするように心がけていれば、自然と面接官の目に留まります。
これを意識することができれば、集団討論の難しさが難しさではなくなります。
また、議論を発展させるには、様々な視点の意見を集め、それを検討し、洗練していく必要があります。
そのためには、全員の参加が欠かせません。
真剣に議論に参加することは、先ほど述べた「自分中心の振る舞いを避ける」ことにもつながってくる、というわけです。
自治体によっては、ケーススタディ(「いじめ問題」など学校で生じる具体的なケースを想定させ、どのような対応をとるかを議論させる)という課題を出すところもあり、受験者間の連帯はやはり重要であるといえます。
集団討論の練習法
集団討論に向けてどのような練習ができるでしょうか。
教員志望の仲間がいれば、みんなでテーマや時間を決めて実際に議論してみるといいでしょう。
そういう仲間がいない、という人は大学の授業やサークルでの会議の打ち合わせのシーンを活用できます。
そのような日常のシーンから上に挙げた二つの点を注意しているなら、集団討論試験においてもそれが習慣となって発揮されるはずです。
そもそも、他人への配慮や真剣さは、試験の時だけ、意識して出せるものではないですね。
また、練習法とは少し違うかもしれませんが、知識を増やしておくことは重要です。
集団討論のテーマが様々であることは、先に述べたとおりです。
どんなネタが使えるか分かりません。
ニュースを見たり、本屋さんをぶらぶらしたりなどして、普段からアンテナを張っておきましょう。
まとめ 集団討論の対策は日々の生活にあります
本日のおさらいです。
- 集団討論では、「他の人のことを考えること」「真剣に議論に参加すること」を意識
- 普段の生活にある会議やグループワークのシーンを活用して練習
- アイデア、主張を支えるための知識を増やす
精神論じゃないか、という感じもありますが、本当に、集団討論は自分の普段の振る舞いが表れてしまう試験だと思います。
集団討論で良い評価を受ける人とは、頭のきれる人が鋭い意見をバンバン出す人、とかリーダーシップを発揮してテキパキと仕切っていく人といったイメージがあります。
もちろんそれも立派な長所で、評価のポイントになるでしょう。
しかし、それだけではないはずです。
「当たり前のことを当たり前にやる」
学校の先生が使う定番フレーズのひとつです。
これができるかどうか、学校の先生を目指す人に求められているのは、こういうところではないかと思います。