今日は現代文のお話です。
現代文って少々異質な教科ですよね。
日本語で書かれているため、英語や古文と違って特に勉強しなくてもだいたい文章が読めてしまいます。漢字の書き取り以外の設問では、イマイチどういう力を問われているのかが分かりません。そして、学校の授業では、「水の東西」や「羅生門」など、入試には絶対に出ないであろう文章を丁寧に読み込んでいきます・・・
現代文はこういった性質上、次のような考え方をしてしまいがちです。
- 現代文は、何となくでもけっこう点数がとれるから、特に勉強する必要がない。
- 漢字だけやっておけばOK
あるいは
- 現代文で何を勉強したらいいか分からない
- どうやったら現代文の点数が上がるのか分からない
といった悩みも出てきます。
そこで、今日は
- 現代文の勉強がなぜ必要なのか
- なんとなくで解き続けるのがどうして良くないのか
といった内容について説明していきます。
今日でフィーリング現代文から卒業しましょう!
なんとなくでも現代文は解けるが・・
始めに言っておくと、「なんとなく」でも現代文で点数はとれますし、特にマーク試験なら高得点を取ることもできます。なので、「現代文の勉強は必要ない」とか「常識があれば解ける」という意見が一方で存在します。
仮にこの考え方を「フィーリング現代文」と名付けましょう。
しかし、この「フィーリング現代文」はある大事な点を見落としています。
「フィーリング現代文」の落とし穴1:点数が安定しない
フィーリングで現代文ができる人、解いている人にはほぼ共通した特徴があります。
それは「文章の内容によって点数が大きく変動する」という点です。
例えば評論文で、「言語系のジャンルは得意だけど、科学系のジャンルになるとさっぱりできない」や「エッセイ型の文になると途端に選択肢を外す」といった具合に、できる時とできない時がある、という経験ありませんか。
直近の自分のマーク模試の点数を確認してみてください。現代文の成績が上がったり下がったりを繰り返していませんか?
この「点数が安定しない」というのは非常にやっかいです。文章の内容によって点数が数十点も変動してしまうとしたら、それはもはやギャンブルです。
誰も一発勝負の大学入試で、一か八かの賭けをしたいとは思いません。
もちろん、テーマの得意不得意で多少点数が揺れることはあります。しかし、現代文の読み方を勉強し、それに沿って解くトレーニングをしていれば、そのブレを最小限に抑えることができます。ゆえに、現代文はきちんと勉強する必要があると言えるのです。
「フィーリング現代文」の落とし穴2:スランプに陥ったら再起不能のリスク有
みなさんは「イップス」という症状をご存知ですか?スポーツでよく使われる言葉で、「精神的要員などで、突然思い通りの動きができなくなる」という現象です。
野球を例に言えば、相手に向かってちゃんとボールを投げる、という本来なら簡単にできることが突然できなくなってしまうのです。
僕は高校時代野球部だったのですが、知り合いにイップスになった人がいました。その人曰く「これまでどうやって投げていたかが分からなくなる」そうです。
これと同じようなことが現代文にも起きます。なぜかこれまでどうやって読んでいたか分からなくなってしまうのです。
選択肢が急に外れるようになり、選択肢のどれもが正解に見えるようになります。
「うそやん」と思った人・・・ほんとです。
特にセンター試験(共通テスト)が近づいてくる秋頃11月くらいからこの症状が出始める生徒がいます。受験のストレスなどが関係しているのだと思いますが、詳しい原因は分かりません。
「フィーリング現代文」でこれまでやってきた人が一度こうなってしまうと、正直言ってやばいです。
なぜなら、自分のフィーリング(感覚)が点数を取れていたときのものとズレてしまっているからです。そして、これまでフィーリングで解いてきたために、何をどう直したらいいのか分からない。この時期になって現代文の読み方を勉強したとしても、結果が出るかどうかは微妙なところ。この良くないムードは他教科にも伝染し、共通テストの合計点を大きく落とすという結果にもなりかねません。
・・・少々脅しすぎてしまいました。すみません。しかし、フィーリングで現代文を読み続けるということは、こういったリスクと背中合わせであるということを忘れないでほしいのです。
現代文の勉強=「読み方のフォームを身につけること」
では、現代文をフィーリングに頼らず解くとはどういうことなのでしょうか。
それは「読み方のフォーム(型)を身につけ、それに従って読む」ということです。
現代文を勉強する意味は、この「読み方のフォーム」を身につけることにあります。
「読み方のフォーム」とは何か。例題を使って考えてみましょう。
例題1「ボールがあたったため、窓ガラスが割れた。」
設問「窓ガラスが割れたのはなぜか。」
この答えは当然「ボールが当たったから」と答えるでしょう。
この時、フィーリングで解いている人は、文の内容だけを読んで答えを「想像」します。
野球少年が暴投して、飛んで行ったボールがどこかの家の窓ガラスに「ガシャーン!」
こんなイメージを思い描きます。
もちろん、これも大事です。ただし、それだけで解くのはまずい。その理由は次の例題で分かると思います。
例題2「カントが想定したように、カテゴリーとはアプリオリな認識の枠組みであるため、私たちは認識したものを他者に伝達することができる」
設問「われわれが認識したものを他者に伝達できるのはなぜか」
これは典型的な哲学ジャンルの一文です。先ほどの「ボールと窓ガラス」の文よりもはるかに難しい内容ですね。
フィーリング現代文は内容を想像して解くため、ここで手が止まってしまいます。
ジャンルによって点数が変動してしまうのはそのためです。
しかし、現代文の読み方を知っている人はどちらも同じように解くことができます。
文章に論理を見いだす
この二つの例文をよく比べてみましょう。どちらも「原因→結果」という展開になっています。「AであるためBである」という展開ですね。
設問は「なぜか」と聞いているので、原因の部分を答えればいいわけです。
つまり「〜ため」の部分。ここが正解になります↓
「カントが想定したようにカテゴリーとはアプリオリな認識の枠組みであるため、私たちは認識したものを他者に伝達することができる」
フィーリングで読む場合は、内容だけで文章を理解しようとするため、どうしても内容に理解度が左右されてしまいます。しかし、読み方のフォームを元にして考えれば、どのジャンルの文章が来ても、答えとなる部分を見つけることができます。
この読み方のフォームのことを論理と言います。
どんなジャンルの評論文でも、論理に基づいて書かれています。したがって、この論理を把握することが現代文読解のカギになります。
もちろん実際の選択肢は、本文の言葉そのままではなく言い換えられているので、文章の内容もある程度理解できている必要があります。しかし、読み方のフォーム(論理)を知っていれば、どこに答えがあるのか(あるべきなのか)が分かるようになります。
読み方を学び、それを繰り返してモノにする
現代文の勉強とは、つまるところ「読み方を学んで、それを繰り返して使えるようにする」ということです。
読み方が身に付くまでには少々時間がかかりますが、一度身についてしまえば、安定した読みが可能になり、点数が大きくブレることがなくなります。だからこそ、なんとなくで現代文を解いている人は今すぐ現代文の読み方を勉強しましょう。
読み方を身につけるオススメの参考書
現代文の読み方を身につける上でオススメの参考書はこれです。
・「船口のゼロから読み解く最強の現代文」(Gakken)
現代文が苦手という人でも、わかりやすく説明されています。そしてぎっちり文字が詰まっているわけではないので、レイアウトが非常に見やすいです。
「最強の現代文」とタイトルはちょっとうさんくさいのですが、本当にオススメできる1冊です。
記述問題の対策を学びたい人はこちらがオススメです。
・「上級現代文1」(桐原書店)
まとめ 読み方が分かれば、あとは知識の問題
今日のまとめです。
- フィーリング現代文は点数が安定しないため危険
- 現代文の読み方を身につければ、どんな内容の文章でも同じようにアプローチ可能
- 読み方を知り、反復練習で身につける
この異質な現代文を攻略できれば、志望校合格が一気に近づきます。
これまでフィーリングで現代文を解いていた人も、これを機にぜひ読み方を勉強してみてください^^
古文の勉強についてはこちらをお読みください。