大学受験

良い先生の条件とは【丁寧?分かりやすい?】

生徒が先生を褒めるとき、「〇〇先生はわかりやすい!」とよく言います。

・丁寧に指導してくれる

・教え方が分かりやすい

もちろん、先生として大事な要素です。

しかし、分かりやすいというのは時として生徒のためになりません。

この記事では、

  1.  「分かりやすい・丁寧」が必ずしも生徒のためにならないのはなぜか。
  2.  良い先生の条件とは何か

といったことを書きたいと思います。

生徒の皆さんも今日は先生側の視点に立って、考えてみてはいかがでしょうか。

分かりやすい=思考に負荷がかかっていない

難しい問題に出会った時、複雑な内容を勉強する時、私たちは「わからない」という状況に直面します。

・この文の意味がわからない

・なぜこの式になるのかわからない

・どこから手をつけていいかわからない

だから、先生に質問します。先生は、身近なたとえを使ったり、難しい言葉を言い換えたり、図や絵を使ったりして、分かりやすく説明してくれます。

なるほど、そういうことか。さすが、先生分かりやすい!

 

学校や塾でよくある一場面ですが、実は分かりやすいというのは要注意です。

分かりやすいとは、言い方を変えれば「じっくり考えなくても、直感的、感覚的に分かる」ということです。

ゆえに、分かりやすい解説を聞くとき、思考力は省エネモードです。それほど考えなくても分かるくらいに説明が丁寧なのですから。

分かりやすい説明だけを聞いていても考える力は育っていきません。

どれだけ教え方の上手なカリスマ講師の授業を受けても、成績が伸びないのはそのためです。

さまざまな映像授業サービスが次から次へと出てくるのは、「映像授業を受けても成績が上がらない」という生徒が少なくないからです。

こんな経験、あなたもありませんか?

1、めっちゃ分かりやすい先生に教えてもらった。

2、おー、すげー!もう完璧!先生ありがとう!

3、自宅で・・さてと、やってみるか。あれ、どうやって解くんだっけ??

んー、よくあるパターンです。

「丁寧さ」が成長の機会を奪う

もう一つ、生徒に人気のある先生が「丁寧に教えてくれる」先生です。

しかし、これも生徒自身のためになっているかと言うと、微妙なところです。

1から10まで丁寧に指導するということは、生徒が自分で考える機会を奪ってしまうことになります。

生徒がちょっとがんばれば越えられそうなハードルを、わざわざ下げてあげているのです。

このタイプの先生は生徒からの評価は高いので、この丁寧な指導を一層極めようとしてしまいます。

まさに悪循環・・・

何を隠そう、僕も大学生の時に、この”丁寧で分かりやすい”先生を目指していました。

こんなに分かりやすく説明しているのに、生徒はどうしてできるようにならないのだろう・・と悩んでいました。

当時の僕は、生徒の目の前の障害を取り除いてあげることばかりに意識が向いていて、やがては彼(彼女)が自力で壁を乗り越えていかなければならないことに気づいていませんでした。

「分かりやすい先生って、分かりやすいけど、ただそれだけの先生ですよ。生徒の成績を上げることはできません。」

当時働いていた塾のプロ講師の方が僕に言ってくれた言葉です。

今でも、自分の指導を振り返るためによく思い出しています。

良い先生=生徒の力を信じられる先生

この経験から学んだ僕なりの良い先生の定義はこれです。

「良い先生=生徒の力を信じられる先生」

その具体的な一面が「教えない先生」です。

教えない、というのはもちろん職務放棄ということではなくて、生徒が問題を解くのに必要なこと以外はむやみに説明しない、ということです。

生徒からの評価はイマイチかもしれません。

「あの先生、あんまりちゃんと教えてくれない。」

「答えが知りたいのに、ヒントだけ教えて、あとは自分でやってくれって言われた。」

しかし、生徒は自分でなんとかしようとします。与えられたヒントの中でどうやったら解けるのか真剣に考えます。

そうやって壁を自分の力で突破し、成長します。

良い先生は「待つ」ことができる

生徒の力を信じることのできる先生は「待つ」ことができます。

教えるのって実はそれほど難しいことではありません。

その問題の解き方を知っていればいいのですから。大学受験の問題なら、たいていの参考書には載っていますから、それを勉強して分かりやすく説明するだけです。

そして、先生は自分が知っているだけに教えたくなってしまいます。

全てを解説したくて仕方ない。自分を頼って来てくれた生徒のためにできる限り丁寧に分かりやすく説明したい!

と思ってしまいます。

 

しかし、良い先生は、最低限のヒントを与え、生徒の答えをじっと「待ち」ます。

すぐに答えが出てこなくても、生徒が本気で考えているのを待ちます。

よく考えれば、教えてしまう方が先生としては楽です。こちらから説明すべきことを説明してしまえばいいですし、その説明が分かりやすいほど生徒は”省エネモード”なので、すぐに「分かった!ありがとう!」といって去っていきます。

一方、「待つ」場合はそうはいきません。ヒントを出し、生徒の答えを待ち、それに対して再び適切なレベルのヒントを考えて出す・・・

「分かりやすく教える先生」と「教えない先生」、本当の意味で丁寧なのはどちらでしょうか。

まとめ

今日のまとめです。

  •  「分かりやすい、丁寧」は生徒の成長を阻害するリスクがある
  •  良い先生は教えすぎず、生徒の成長を信じて「待つ」

さきほど、「教えない先生」は生徒の評価がイマイチかもしれない、と言いました。

しかし、全ての生徒がそうではありません。

生徒は先生が「どれだけ本気で向き合ってくれているか」を感じています。

それは教え方が分かりやすいかどうかという次元の話ではありません。

たとえ多くを教えないとしても、「本気」を感じた生徒はそれに応えてくれます。

 

今日は教師視点で記事を書いてみました。なんだか偉そうに語ってますが、僕もできていないことだらけです・・

これからも日々努力して参ります!

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