2015年、有村架純さん主演の「ビリギャル」という映画がありました。
原作の題は、「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」で、タイトル通り、逆転合格のサクセスストーリーを映画にしたものです。
生徒、塾、家族、いろいろな視点から受験が描かれており、また話の起承転結がしっかりしているので、なかなか面白い一本です。
受験勉強のモチベーションもばっちり上げてくれます。
今日は、その映画「ビリギャル」を通して学べる大学受験の鉄則をいくつかピックアップしたいと思います。
以下、本編の内容に関わる記述となるので、まだ本編を見ていない人は、見てから続きを読むことをお勧めします。
志望校は上げてもいいが下げてはいけない
これは決して学歴的な観点から言っているわけではなく、坪田先生(ビリギャルの先生)も言われていたように、「目標を下げたら低い方に流れていってしまう」からです。
そして、目標を下げた結果、その志望を落とした大学にすら合格しない、というパターンに陥ってしまいます。
たとえ合格したとしても、「自分はもっと上の大学に行けた」とか「私は周りの人たちとは違う」といった思いを持ちながら大学生活を送ることになるかもしれません。
別に学校の先生や塾の先生も、進学実績のためだけに志望校を下げるな、と言っているわけではありません。
楽な方に流れていくと、本当にどんどん成績が落ちていきます。魚が川の流れに逆行するように、もがきつつもはじめに決めた志望校を目指し続けましょう。
志望校は絶対一度見に行こう
これは必ずやってほしいことの一つです。「ビリギャル 」では、高3の秋以降に見に行っていましたが、僕は遅くても高3の夏までには、一度志望校のキャンパスへ足を運んでおいた方が良いと思います。
オープンキャンパスに参加してもいいですし、そこへ通っている先輩に個人的に案内してもらうのもいいでしょう。
志望校の場所が遠くても、お家の人に頼んでぜひ行ってみてください。直接経験しなければわからないことがあります。きっとあなたのモチベーションを高めてくれるはずです。
誰かのためにがんばる
この映画のメインテーマが「逆転合格のサクセスストーリー」だと思いますが、もう一つ「人は誰かのためにがんばることができる」というテーマが暗に示されていると思います。
母と娘、友達、坪田先生のためにがんばるさやかさん、さやかさんや他の塾生のためにがんばる坪田先生、子供たちのためにがんばる母などなど、この映画の登場人物はみな、「誰かのため」にがんばっています。
人は他の人のために尽くそうとする時、普段以上の力を発揮する生き物です。「誰かのため」という動機は非常に強力です。
もちろん、受験勉強は第一に自分のためにやるものです。それはそうなんですが、自分一人で勉強ができているわけではありません。自分のことを支え、応援してくれている人、きっといると思います。親、先生、友達・・・その人たちのためにも、たとえ壁に当たっても、あきらめずに前へ進み続けましょう。
やっぱり受験は短期決戦
本編で、主人公のさやかさんが、しんどくなって勉強を投げ出してしまうシーンがあります。その時、彼女はこう言いました。
「もう1年もがんばってきた!」
1年間というのは、私たちの意識において、非常に大きな区切れ目です。季節が一回りし、同じ数字の月がやってくる。気温や空気のにおいも同じ。受験勉強する、と決意してから一年以上が経つと、急にしんどくなります。
だからこそ、僕は繰り返し「受験は高3からの短期決戦」を勧めているわけです。
がんばる期間を1年間に絞り、徹底的に勉強しましょう!
できた、わかった喜びを勉強のブースターにする
さやかさんが一年でここまで成績を上げることができたのは、さやかさんが「できた、わかった喜び」を起爆剤にして、勉強のペースを上げることができたからだと思います。そして、その喜びをもたらしたのは、坪田先生の声かけのおかげであるのは言うまでもありません。
映画では、随所に坪田先生の「ポジティブな声かけ」のシーンがあります。相手の意見を受け入れつつも、違った見方を与えることで、相手を励ます。できなかったところではなく、できたところを褒めるなどなど・・
教える立場から見ていても、なるほどためになる映画でした。
何かを知りたいというのは、人間の欲求の一つであり、本来誰にでも備わっているものです。「勉強=つまらない」という先入見を取り除くことができれば、成績は一気に伸びていきます。
勉強とは、本来楽しいものだ。
僕が受験指導を通して最も教えたいことのひとつです。
まとめ ダメな生徒なんて一人もいない
さやかさんの担任の先生が言った「ダメなやつは何をしたってダメなんだよ」に対して、坪田先生が言い返したのがこの言葉です。
「ダメな生徒なんて一人もいない」
確かにきれいごとなんですが、僕も坪田先生のこの言葉に同意します。
育った環境や、やってきたことの積み重ねで、勉強する以前の状態である子も少なくありません。僕も高校で教えていて、そういう生徒を何人も見ました。しかし、そんな彼ら、彼女らでも一生懸命に生きています。本気で向き合えば、それに応えてくれます。
現在、僕は学校現場を離れて家庭教師という形で生徒に接しています。一つには、集団ではなく、できる限り一人ひとりと向き合いたいという思いがあるからです。
「出会えてよかった」そう思われる大人になれるよう、これからも頑張っていきたいと思います。