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古文常識はなぜ必要?【勉強法と合わせてわかりやすく説明】

よく「古文常識は重要」、「古文が読めないのは古文常識を知らないからだ」と言われます。参考書でも古文常識に関連したものが多数出ています。

 

当時のことを知らないなら文章を読んでも理解できない。

 

言われていることはわからんでもない。

でも、イマイチしっくりきていない人も多いのではないでしょうか。

今日は、古文の読解において、なぜ古文常識が必要なのか、身近な例を使って説明したいと思います。具体的な勉強法も紹介するので、ぜひご覧ください。

なぜ古文常識が必要なのか

 アニメ「十二国記」から得たヒント

突然ですが、小野不由美さん原作の「十二国記」という本をご存知でしょうか。

アニメとして出たのは2002年でちょっと昔なのですが、古代中国をモチーフにした異世界ファンタジーです。

主人公の陽子は、普通の高校生。ある日突然、ケイキという人物にであったことをきっかけに異世界に飛ばされてしまう。はじめは、元の世界に帰りたいと嘆いてばかりいる陽子が、仲間に出会い、この世界について知っていく中で、成長していくという王道ファンタジーです。

なかなか見応えのあるアニメで、途中から止まらなくなって、全45話を数日で見終えてしまったことを覚えています。まだみたことのない方はぜひ一度見てみてください。

という宣伝がしたかったのではなく・・・

このアニメ、異世界ファンタジーなので、設定を飲み込むのがかなり大変です。

「麒麟」「海客」「胎果」などなど、一見しただけではわからない単語が多数出てきます。

また、政治の場面が登場するので、1人の人物がいろいろな名前で呼ばれます。役職名で呼ばれたり、本名で呼ばれたり、あるいはあだ名で呼ばれたり。

しかも、古代中国がモチーフなので名前も中国風。アニメで映像付きだとはいえ、同定するのが大変です。

「なかなかに理解が大変だなー」と見ながら思っていたのですが・・

よく考えてみれば、これと同じことって、古文を読むときにも起こってますよね。

ということに気がついてしまいました。

 古文という世界観の難易度

古文にも一見してわからない単語っていっぱいあります。

一例を表にするとこんな感じです。

ジャンル 単語
住まい 「遣水」「几帳」「長押」など
生活 「方違」「物忌」「中陰」など
政治 「検非違使」「内侍」「蔵人」「殿上人」など

 

あ、これ無理だ。

知らない単語の量が尋常じゃない。もはや「十二国記」の比ではありません。

古文常識を対策せずに古文を読むということは、これらのキーワードを一切知らない状態で挑むようなものです。どれだけ、無謀なことかもうお分かりだと思います。

もちろんあまりにマイナーな単語については、文章末尾に注をつけてくれますが、上の表に出てきた言葉はいずれも知っておきたい単語です。(読み方も含め)

古文常識を学ぶということは、まずこういった用語を知っていくことから始まります。

 古文を読むとは、異世界ファンタジーを途中から見るようなもの

入試で出題される古文の文章は、長い著作全体から一部を抜き出して作られています。

これを先ほどの例にあてはめるなら次のように言えます。

古文の読解は、異世界ファンタジーを途中から見るようなもの

みなさんも、好きなファンタジーアニメを一つ思い浮かべてみてください。それを第5話とか、第8話とかすごく中途半端なところから見るイメージです。

すぐに理解できるでしょうか。まず不可能だと思います。

一応、冒頭にはあらすじがついているかもしれませんが、それでもすぐ話に入っていくのは困難です。

古文をどこか読みにくいなー、と感じてしまう理由の一つはここにあります。

反対に、「宇治拾遺物語」や「今昔物語」など、一話完結型の説話が簡単に感じるのもこのためです。

 

ここまでで、古文常識が必要な理由がわかったかと思います。

「でも、古文常識の本を読むのって、なんか気が進まない・・・」

正直なところ、そう感じている人もいると思います。

では、次にいわゆる「古文常識の参考書」を使わないで古文常識を勉強する方法について、説明します。

古文常識の勉強法

 1、大河ドラマを見る

大河ドラマは嘘ばっかりだ、という人もいますが、古文常識を得るはじめの一歩としては適していると思います。

特に何が良いかというと、「言葉遣い」です。

大河ドラマって、ちょっと昔’風’の言葉遣いをしています。完全に昔の言葉遣いにしてしまうと、本当に何を言っているか分からなくなってしまいますし、反対に現代語で話していては「昔感」が全くなくなってしまいます。

この「ちょうどいい昔具合(なんだそれ)」が実際の古文の言葉に触れるハードルを下げてくれます。

一応ドラマですので、楽しみながら見ることもできると思います。

 2、国語便覧を使う

高校入学と共に、「国語便覧」を買ったと思います。

これを使わない手はありません。

私たち教員も、国語便覧をなるべく授業で使いたいと思っているのですが、なかなか進度の問題で時間をとることが難しかったりします。(言い訳です。)

授業中や予習の時、わからない用語などが出てきたら調べてみるのもいいですし、ただダラダラと読むだけでも勉強になります。

別に「毎日〇〇ページ」といってノルマ化する必要はありません。

ちょっとした合間にペラペラと読み進めていきましょう。

 3、授業をちゃんと聞く

あれ、急にマジメな話になってきた?

しかし、古文の授業をちゃんと受けるのが、実は一番古文常識を身につけるのに役立ちます。

学校の先生もみなさんが古文嫌いなことは知っています。笑

なので先生方は、当時と現代の感覚のズレや、昔の風習について、できる限りわかりやすく、そして面白く説明しようとするはずです。

この機会を逃すなんて、もったいないこと限りなしです。

授業をろくに聞かないで、「僕は古文常識の参考書で覚えるから」という人は、結果的に勉強効率を下げることになってしまいます。

そもそも、参考書を使って、ただ黙々と世界観・設定を覚えていくだけの勉強なんてナンセンスです。

そうやって覚えた知識に何の意味があるでしょうか。

その意味で、「古文常識の本を読むのって、なんか気が進まない・・」というのは全く自然な気持ちです。

古文をもっと知りたいから参考書を使うのであって、古文常識を覚えるために古文常識の参考書を使うのではありません。

この点がすり替わってしまわないように注意しましょう。

まとめ 古文常識を知れば確実に古文が楽しくなる

今回は、古文の読解を異世界ファンタジーに例えて、説明していきました。

異世界ファンタジーの醍醐味は、何といっても、壮大な「世界観」にあります。はじめはいろいろな設定を飲み込んでいくのに苦労しますが、それが分かってくると一気に面白くなってきます。

古文もこれと同じです。古文がつまらないのは、その世界観を掴めていないためです。

少しずつ設定を飲み込んでいきましょう。書かれていることの意味がわかってきます。

「あ、ちょっと楽しいかも。」

こう思えるようになったら、しめたもの。

きっとあなたは、古文が苦手だとは思わなくなっているはずです。

 

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