今、「教科横断型」という言葉が教育現場のトレンドになっています。
教科横断とは、複数の教科をまたぐようにして学ぶということで、社会で生き抜く力を育もうという発想です。
次期学習指導要領にもこの「教科横断」が一つのキーワードとなっています。
文科省が想定しているのは、「教科を通して身に付く力」というもっと高次のレベルでの教科横断だと思うんですが、今日はもう少し具体的な話。
教科横断的思考を取り入れて勉強してみましょう、ということを記事にしました。
- 苦手科目のある人
- 学力を総合的に底上げしたい人
- 受験勉強を本格スタートしたばかりの人
- 時間がない人
ぜひ、この記事を読んで、教科横断的発想を身につけてください^ ^
教科横断的発想とは?
先ほども述べたように今、「教科横断」という言葉がよく用いられるようになりました。
「教科の垣根を超えて学ぶ」というコンセプトですが、よく考えると、「教科の垣根」などと言うものは初めからあったものではありません。
初めにあったのは、様々な現象・物質・生物・言語などの総体です。
もう少し分かりやすく言えば、「はじめにあったのは世界の方で、教科は世界を理解するために、意図的に線を引いた」のです。
ゆえに教科同士で学ぶ内容が非常に近い、あるいは共通している部分が多数存在します。
見た目上、いくつかの教科に分かれているんですけど、学ぶことがダブっているんです。
これってどういうことか分かりますか。
複数の教科を同時に勉強できる、ということです。
このことに気がついているだけで勉強効率が一気に上がりますし、周りの受験生の一歩先へ行けます。
なぜなら、多くの受験生はこのことに気がついていないからです。
古文をやるときには古文の頭に、数学を勉強するときには数学脳に切り替える、といった具合です。
しかし、教科横断的な思考で勉強をするなら、
「古文をやりつつ日本史を」、「漢文をやりながら世界史を」、「現代文をやりながら数学を」勉強することができます。
なんとなく、教科横断的な考え方とやらはわかった。
でも、具体的には何をすればいいのか、と思うかもしれません。
そこで、次にこの「教科横断思考」の具体例を説明します。
教科横断勉強法
レベル1:学ぶ内容が同じである別の教科を探せ
一番身近な教科横断は「学ぶ内容が同じ」を意識することです。
例えば、古文で文学史を学びますよね。
これって日本史で習う内容とほぼ一緒です。
だから、日本史で文学史をやるなら「古文の勉強でもある」と意識して覚えます。その逆も然りです。
これは単なる精神論ではなく、これを意識しているかどうかは記憶力、集中力などに大きく影響します。
今の例を参考にして、他にも学ぶ内容が同じであるものがないかを探してみましょう。
見つかりました?
他には、
・世界史×地理(地名)
・世界史×漢文(中国史)
・世界史×倫理(思想史)
・地理×地学(地形、気候)
・物理×数学(三角比)
などがあります。
本当にいっぱいあります。
もっと身近な例で行けば、
・数学の判別式Dは英単語distinguishに由来している
・世界史の「陳勝・呉広の乱」のスローガン、「王侯将相いずくんぞ種あらんや」の「いずくんぞ」は漢文の句法「反語形(〜だろうか、いや〜ない)」だ
といった発想も教科横断の一つです。
普段からやっている人もいるかもしれませんが、これをさらに拡大していくイメージです。
レベル2:多教科同時暗記
どうせ覚えるならいっぺんに覚えてしまいましょうというのがこの「多教科同時暗記」。
例えば、
・漢字の書き取りと英単語を一度に覚える
Ex ヘンケン→漢字:偏見。英単語:discrimination
コウカイ→漢字:後悔。英単語:regret
・古文単語と英単語を同時に覚える
Ex 我慢する→古文:ねんず。英単語:endure
古文:まめまめし→実用的な。英単語:practical
もちろん、言語の意味範囲が完全に同じというわけではないので、すべてをこのようにして覚えることはできませんが、効率的ですし、思い出す際のきっかけにもなります。
レベル3:解き方の応用
これはちょっと難しいですが、かなり大切な視点です。
例えば、英語の文解釈で、「複雑な文は、まずS(主語)とV(述語)が何かを特定しましょう。」という考え方を習うと思います。
これって、文解釈のテクニックなので、「文」であれば、全てに対して使うことができます。
つまり、現代文の評論を読解するとき、古文を読解するとき、あるいは、数学の問題で何を求めればいいかをはっきりさせたいとき、世界史・日本史の論述問題・・・全て応用可能です。
そして、他教科でも使うことで、この「SVを特定する」というテクニックがよりスムーズに、正確に使えるようになっていきます。
英語だけで使っているよりも習得が早いのは言うまでもないでしょう。
一つの教科で学んだ解き方、考え方を他の教科でも使えないかを考えてみる。
たとえ使えなかったとしても、それを考えること自体に大きな意味があります。
もちろん、全てのテクニックが応用可能というわけではないですが、積極的に考えてみてください。
「教科横断」のメリット
具体例も確認できたところで、この「教科横断」の視点を取り入れた勉強法のメリットをいくつか紹介します。
時間短縮になる
国公立大を受験するなら多くの場合、共通テストで5教科7科目を受験する必要があります。
つまり、7種類の科目を来年の1月までに全て勉強しなければならないのです。
これを1科目ずつ別々に扱っていたのでは時間が足りません。
だからこそ、教科横断的な発送が重要になってきます。
特に、今年は新型コロナウイルスの影響で、勉強できない時期があったにもかかわらず、共通テストは予定通り実施されそうです。時間を有効に使うためにも教科横断的発想が真価を発揮するでしょう。
苦手意識をうすめることができる
文系科目はできるけど、理系はイマイチ・・とか、理系はいけるけど文系が壊滅的だ・・とか人によって得手不得手があると思います。
苦手教科であっても、得意な教科と関連させることで苦手を軽減することができます。
ある教科が苦手なら、他の教科を利用して引っ張ってあげましょう。
知識や思考の定着が早い
国語を勉強しながら、英語を思い出したり、数学を思い出したりすることで、知識を反復する頻度が増します。頻度が増すので、記憶から抜け落ちていく知識が減り、暗記の効率が上がります。
また、先ほども述べたように、ある教科で習った解き方を別の教科にも応用してみることで、解き方をより早く身につけることができます。
こうしたメリットを考えると、教科横断的な勉強がいかにお得かが分かると思います。
まとめ
教科横断的な勉強法とは
- 複数教科で同じ学習内容のものを探す
- 暗記を複数教科で同時に行う
- 習った考え方、テクニックを他教科でも応用できないかを考える
今日は、教科横断的思考を大学受験でどのように生かせるかを考えてみました。
今日、紹介したことを意識しておくことで、一つの教科を勉強するときに他の教科のアンテナが張られるようになります。
勉強しているときにずっと他教科も考えていなければならない、というわけではなく、「あ、これって他の教科にも使えないかな」と気づけるようにしておこう、ということです。まさにアンテナを張るイメージです。
個々の教科を別々にやるよりも、効率的で、応用力もつきます。ぜひ、一度やってみることをお勧めします。