こんにちは。
今日は、古文の読解について書きたいと思います。
よく
・単語はまあまあ覚えているのに、文章を読んでもあまり内容を理解できない
という悩みを聞きます。
これは英文の読解においてもよく聞かれる悩みです。
単語はわかる。しかし、文を読んでもいまいち何を言っているのか(何が起こっているのか)分からない。
こうした状況になる人に、ぜひ試してみてほしいことがあります。
それは
主語と述語の対応をきちんと確認する
です。
え、それだけ?
と思われたかもしれません。
はい、それだけです。
しかし、果たして、これを意識して文章を読んでいた人がどれだけいるでしょうか。
古文であれ、英文であれ(もちろん、現代文であっても)これはやってる人とやっていない人でかなり読解に差がつくポイントだと思います。
以下、なぜ主語・述語を確認することは効果的なのかを説明していきます。
1、一文が長い時、シンプルに情報を把握できる
古文の文章が読みにくい理由の一つが「一文がめちゃくちゃ長い」ことです。
男、〇〇するに、××ありて、△△なれば・・・
といった感じで、
一文の終わりの句点(。)が永遠に来ません。笑
ゆえに、わかる単語をつないで、意味を追いかけている間に、情報が混乱してきて、結局どんな内容だったのか要領を得ない、ということになってしまうわけです。
これは情報量が多すぎてパンクしているということなので、いくら単語を覚えてもイマイチはっきり理解できない状態は改善しません。
ここは思い切って、シンプルに主語と述語だけを見つけることに専念してみてください。
すると、
「あ、要は男が〇〇へ出かけたんだな」
とか
「風が強かったんだな」
という風に、土台となる情報が据えられます。
それから、補足的に意味を足していけばいいのです。
とは言っても、主語が省略されていて分からないから主語と述語を特定できないんです、という人もいると思います。
そこで、次のポイントです。
〜補足〜
「まずは主語と述語をとらえよ」という考え方は、英文の読解の際によく言われることです。(学習のジャンルとしては「英文解釈」と呼ばれます。)
英語の文章が読めないという人も、一文が長すぎてきちんと情報を整理できていない、というパターンがけっこう多いです。
これと全く同じことが古文でもあてはまる、というわけです。
英語も、現代文も、古文も「文章を読んでその文章に書かれていることから答える」という問題の性質を持っており、だからこそ、点数を取るためには「文章をきちんと読む」ことが必要不可欠です。
この点で、主語・述語を押さえるのは非常に効果的です。ぜひ、古文に限らず英語や現代文の読解においても試してみてください。
2、助詞を活用する
古文の文章において、主語が省略されがちであることは有名です。
おそらく、古文が難しい理由を答えよと言われたら、これが少なくともベスト5にランクインするでしょう。
では、どのように主語を補えばよいのでしょう。
一つの答えは「助詞を活用する」ことです。
特に「接続助詞」に気を付けてみましょう。
接続助詞とは「を・に・が・ど・ば・て・で」などのことを指します。
この接続助詞について、ぜひ以下のことを覚えておいてください。
・て、で→主語が継続(変わらない)
・を・に・が・ど・ば→主語が変更
例えば…
男、西の方に用ありて、〇〇殿に渡るに…
という文があったとします。
主語は「男」で、述語(動詞)は、「あり」と「渡る」の二つがあります。
「て」というのは、単純接続と呼ばれ、その前後で主語が変わりにくい特徴があります。
現代語でも、「僕は家に帰って、手を洗う」という感じで、「て」の後の動詞「洗う」も主語が同じですね。
なので、古文でも「あり」と「渡る」の主語は「男」になることがわかります。
これを応用すれば、
先ほど紹介したような、
男、〜〜のときに、〇〇して、××に行きて、△△たりければ、
のような一文がやたらと長い場合でも、
「て」に注目して、すべての動作の主語が「男」であることが読み取れるわけです。
一方、「を・に・が・ど・ば」といった接続助詞については、主語が変化しやすい性質があります。
現代語で言えば、
「彼が〇〇と言ったので、私は××と言った。」とか
「道のりは遠いけれども、私はあきらめない」という感じです。
古文で登場人物が2人出てくる場合、この「を・に・が・ど・ば」での主語変更が顕著にみられたりします。
※まるで、主語が変わりばんこに出てくるので「主語が交代する」していくイメージであるとも言えます。
仮に「大納言」と「中宮」という2人の登場人物がいたとして、文章は次のように展開していきます。
大納言〇〇でありければ、「〇〇」とのたまひさすれど、聞くけはひなし。
「ば」と「ど」で主語が交代するので、
大納言 ば 中宮 ど 大納言
と主語が変化していると分かります。
確かに主語は省略されていますが、助詞を手がかりにすれば主語を特定することができます。
もちろん、「を・に・が・ど・ば」で100%主語が入れ替わるわけではないので、過信は禁物ですが、なかなか役に立つポイントなので、知っておいて損はありません。
※接続助詞については、こちらで詳しく説明しています。
→順接?逆接?接続助詞「を」「に」「が」の対処法を紹介します
〜主語に気づかない場合もある〜
ここで一つ気を付けておきたいのが、主語は省略されていないものの、主語だと気がつかない場合がある
ということです。
そんなことあるのか、と思われるかもしれませんが、意外とよくあることです。
現代語では、「〇〇が」や「〇〇は」など、「が・は」が来たら主語だということになっていますが、
古文では「が・は」の他に、「男の着たりける(=男が来ていた)」のように「の」が主語を表す場合や、
「男、来にけり(=男がやってきた)」のように(主語ではなく)助詞が省略されている場合があったりします。
どうぞご注意ください。
まとめ
今日のまとめです。
1、主語と述語を見つけてシンプルに理解せよ
2、主語を見つけるためには、接続助詞「を・に・が・ど・ば・て・で」をヒントにせよ
です。
ある程度の慣れは必要ですが、慣れてくると文章をシンプルに理解できるようになりますし、すっと理解できるので読むスピードも上がっていきます。
また、こうした読解法を勉強したいという人は、
旺文社から出ている
というテキストがおすすめです。(リンクはAmazonページへ飛びます。)
主語・述語の他にも、文章をきちんと理解するためのポイントが載っています。練習問題もついているので、ポイントを教えて終わりではなく、しっかりと身につけることができます。
ぜひ、これを使ってトレーニングしてみてください。