古典文法講座

【古典文法】動詞の活用の種類を識別するための簡単2ステップ

今日は、古典文法【動詞編】の続きです。

◯前の記事をまだ読んでいない人はこちらから↓

動詞の活用をわかりやすく説明【古典文法の復習はここからスタート】

 

ここをしっかり理解できれば、正直、第1章「用言」はクリアしたも同然です。なぜなら、動詞と比べると形容詞や形容動詞は活用の種類も少なく、判別も容易だからです。

今日は特に動詞の判別の仕方を紹介します。しっかりついてきてください^^

活用の種類の例外

判別法をやる前に、動詞には例外的な活用があることを押さえておきましょう。

前回の記事で、動詞には基本的となる5つの活用の種類があることを勉強しました。

覚えてますか?

四段活用、上一段活用、上二段活用、下一段活用、下二段活用の5つですね。

それぞれ、未然形から声に出して活用させてみましょう。

 

OKでしょうか。とにかく声に出して、覚えることが大事です。

さて、動詞はこの5種類でほぼ分類できるんですが、例外的な活用の種類があります。

それを「変格活用」といい、新たに4種類覚えてもらいます。

4種類とは、カ行変格、サ行変格、ナ行変格、ラ行変格

読むと長いので、「カ変」や「ラ変」というように省略して書かれることが多いです。

それぞれの頭文字をとって「カサナラ変(重ならへん!)」と覚えます。(関西弁)

変格活用はイレギュラーな活用の種類なので、「どの単語が変格活用なのか」をしっかりと覚えることが重要です。

では、順番に変格活用を確認しましょう。

 カ行変格活用

変化の仕方:こ、き、く、くる、くれ、こ(こよ)

特徴:代表的なカ変動詞は「来(=来る。「く」と読む)」です。

この「来」という動詞、活用形を見分けるのが大変です。文章中では漢字で出てくるために、「こ(未然形)」なのか「き(連用形)」なのか、はたまた「こ(命令形)」なのかが見ただけでは分かりません。どれも「来」とでてくるからです。

どうやって判別すればいいかというと、その続く語で判断します。

例えば、「〜来。」と文が終わっているなら、命令形ですし、「来ず」と続くなら未然形だと分かります。このあたりは、助動詞で「接続」という概念が出てきたら詳しく説明しようと思います。

今は、カ変=「来」を確実に覚えてください。

 サ行変格活用

変化の仕方:せ、し、す、する、すれ、せよ

特徴:サ変動詞で覚えておくべきは「す(=する)」と「おはす」です。下二段活用をベースとしつつも連用形だけは「し」とイ段の音を用いています。

サ変動詞は、この二つ以外にもけっこう出てきます。教科書や参考書の文章で出てきたら覚えていくようにしましょう。

 ナ行変格活用

変化の仕方:な、に、ぬ、ぬる、ぬれ、ね

特徴:「死ぬ」「往ぬ(「いぬ」と読む)」の2つを覚えましょう。命令形を「ねよ」とやってしまいたくなる気持ちと戦ってください。

 ラ行変格活用

変化の仕方:ら、り、り、る、れ、れ

特徴:覚えるべき動詞は4つ。リズムよくいきましょう。「あり」「をり」「侍り(はべり)」「いまそがり(「いますがり」でもOK)」。助動詞にもラ変型の活用をするものが多く、これは自然と覚えていけると思います。ただし、動詞の中で唯一ラ変動詞だけが、終止形で「り」となり、ウ段で終わらないということに注意しておきましょう。

変格活用をまとめましょう。

◯動詞の変格活用

カ変・・「来」

サ変・・「す」「おはす」

ナ変・・「死ぬ」「往ぬ」

ラ変・・「あり」「をり」「侍り」「いますがり」

変化の仕方と合わせて、スラスラ言えるようにトレーニングです!

動詞の判別法

さて、活用の種類が一通り出揃いました。動詞には変格活用も合わせると、全部で9種類の活用パターンがあることになります。9種類もあるのに、文章中で出てきた動詞をどのようにして「これは〇〇段活用だ」と見分けていくのでしょうか。

今から紹介する2ステップで見分けていきます。

  1.  活用の種類が一発でわかる動詞かどうかをチェック
  2.  それ以外なら「ず」をつける

たったこれだけです。詳しく説明します。

 1、活用の種類が一発でわかる動詞かどうかをチェック

これまで見てきたように活用の種類は全9種類ですが、この9種類をいっぺんに判断しなければならない、というわけではありません。

例えば、変格活用などは、ほぼ該当する動詞が決まっています。

ゆえに、これを逆手にとって、動詞→活用の種類と速攻で判断できるわけです。

「来」→「カ変」、「す」→「サ変」といった感じです。

このステップ1で次の活用の種類を判別できます。

・変格活用すべて(カ変、サ変、ナ変、ラ変)

・下一段活用(「蹴る」のみだから)

・上一段活用(「ひいきにみゐる」に当てはめるだけだから)→詳しくは前回の記事の「上一段活用」を参照してください。

つまり、9つある活用の種類のうち、6つは動詞を見ただけで判断できるというわけです。簡単だと言った理由がわかってもらえると思います。

 2、それ以外なら「ず」をつけてみる

ステップ1を終えた時点で、残るは四段活用か、上二段活用か、下二段活用の3通りに絞られました。この3つをどうやって見分けることができるでしょうか?

以下の図を見てください。

四段、上二段、下二段の活用を並べたものです。未然形の部分を見てみると、四段は「あ」、上二段は「い」、下二段は「え」となっていて、どれも異なっています。

ここを使います。つまり、動詞を未然形に変化させて、ア段、イ段、エ段のどれになるかで活用の種類を判別する、ということです。

動詞を未然形にするには、「〜ない」という否定の形にすればよかったのでした。

例で実際にやってみましょう。

例文:今は昔、竹取の翁といふものありけり。

例題:「いふ」と「あり」の活用の種類は何か?

まず、ステップ1。すぐに活用の種類が分かる動詞はありますか。「あり」がそうですね。ラ変です。

「いふ」はすぐに活用の種類が分かる動詞ではありません。ではステップ2に移り、「ず(「ない」でもOK)」をつけてみます。

すると「いはず」となり、ア段の音になりました。

未然形がア段になるのは、四段活用。よって、「いふ」は四段活用だと分かります。

このようにして動詞の活用の種類を判別していくことができます。

実際にはどう出題される?

この活用の種類を答えさせる問題は、1)活用するひらがなの行、2)活用の種類、3)活用形の3つをセットで答えなければならないケースがほとんどです。

例えば、先ほどの「いふ」であれば、

1)「いはない」、「いふ」という風に、は→ふ、と変化していますね。よって、「ハ行」の活用であると分かります。

2)これは先ほど見たように、「四段活用」。

3)例文では、「いふもの」と後ろに、もの(名詞)が続いていましたから、活用形は「連体形」です。

これらを組み合わせて、こう答えます。

「ハ行四段活用、連体形」

練習してみよう

では練習問題です。

問題:次の動詞の1)活用の行と2)活用の種類を答えなさい。

1、見る

2、起く

3、おはす

4、侍り(はべり)

5、経(ふ)

6、取る

7、蹴る

 

<解説>

まず、すぐに活用の種類が分かるものを抜き出します。(ステップ1)

1、見る 3、おはす 4、侍り 7、蹴る が選べます。

1「見る」は上一段活用の覚え方「ひいきにみゐる」のうちの「み」です。「み、み、みる、みる、みれ、みよ」という活用ですから、全てに「み」、つまりマ行が入っています。よって、「マ行上一段活用」です。

3「おはす」はサ変動詞で暗記。このように変格活用はもともと行をセットで覚えているので、特定する必要はありません。答えは「サ行変格活用」

4「侍り」は「あり、をり、侍り、いますがり」で覚えましたね。「ラ行変格活用」

7「蹴る」は、唯一の「下一段活用」。変化は「け、け、ける、ける、けれ、けよ」なので、カ行。「カ行下一段活用」

 

さて、残るは3つ。2「起く」と5「経」、6「取る」です。それぞれに「ず」をつけてみます。

起く→起きず。 「き」はイ段。よって上二段  答え:カ行上二段活用

経→経ず。 「へ」はエ段。よって下二段   答え:ハ行下二段活用

取る→取らず。 「ら」はア段。よって四段  答え:ラ行四段活用

どうでしょうか。なんとなく分かってきましたか?

ステップ1でチェックとか言ってますが、慣れてくれば瞬間的に「あ、これはナ変だ。」とか分かるようになっていきますので、実質ステップは2の「ず」をつける、だけになります。

あとは、学校の予習や、週末課題、文法ドリルなどを使って反復練習を重ねていきましょう。

まとめ

・4種類の変格活用(カサナラ変)は動詞を暗記せよ

・活用の種類を見分けるには、1)すぐ分かるやつをチェックして、2)それ以外は「ず」をつけて、ア段、イ段、エ段のどれになるかを見る

・動詞判別の問題は、1)活用の行、2)活用の種類、3)活用形をセットで答える

これで動詞の分類はほぼOKです。

動詞の活用の種類全9パターンはスラスラ言えるようにトレーニングをしましょう。

次回、動詞の判別「応用編」はこちらから。

活用の種類、行を覚えておきたい「ひっかけ動詞」たち

 

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