今日は敬語問題を答えるときに大切な最後の1ピースを紹介するよ。
さあ、じゃ今日もがんばっていこう!
敬意の方向
今日学ぶのは、「敬意の方向」という考え方だよ。
・尊敬語→動作の主語への敬意
・謙譲語→動作の受け手への敬意
・丁寧語→聞き手、読み手への敬意
だったよね。
古典文法では、「誰に対する敬意か?」だけでなく、「誰からの敬意か?」つまり「敬意を使っている人が誰なのか?」も合わせて考えなければならない。
この「誰から誰への敬意か?」というのを「敬意の方向」と言うんだ。
その「ください」は先生から生徒への敬意になる、という感じだね。
敬意の出所も2パターンしかないから、今日でバッチリ理解してしまおう!
古典文法では、その敬語が「誰から誰への敬意か」を答えなければならない
地の文=作者からの敬意
「地の文か会話文か」だよ。
地の文で敬語が使われている場合、その敬意は文章を書いている人から出ていると考えるんだね。
例えば、在川さんが校長先生が登場人物として出てくる小説を書いているとしよう。
そのときに「校長が壇上に上がった。」でもいいけど、敬意を込めようと思ったら「校長先生が壇上に上がられた」って書くんじゃないかな。
◯地の文(ナレーター、「」じゃないところ)で敬語が用いられる
→作者から登場人物への敬意
「 」の中=話している人からの敬意
例えば、他の登場人物であるA先生が、卒業式の司会で「校長先生が壇上に上がられます。」と言うシーンがあるとしようか。
この「」の中も当然、作者である在川さんが書いたんだけれど、「」の発言はA先生のものだよね。
つまり、「」中では、敬意の出所は「話し手」になるということだね。
その「校長先生が壇上に上がられます。」の敬語は、A先生から校長先生に向けられた敬意ってこと?
ここから大切なことが見えてくるよ。
「」中の敬語が誰から誰への敬意かを答えるためには、その「」は誰が話した言葉なのかをしっかり読み取っていなければならない、ということなんだ。
敬語と文章の読解は切っても切れない関係にあるということだね。
◯「」の中で敬語が用いられる
→話し手(登場人物)から別の登場人物への敬意
練習問題
前回と同じ文章を使って「誰からの敬意なのか」を考えてみよう。
◯次の下線部の敬語は誰から誰への敬意を表しているか答えよ。
1、聖、喜びて、日頃のおぼつかなさなどのたまふ。
2、(男が言った、)「嫗ども・・寺に尊き業(わざ)すなる、見せたてまつらむ。」
今回は練習問題だから(「男が」)と主語を補っているけど、文章中に書かれていないことも時々あるから、文脈から誰の発言かを推測しないといけない。
「地の文→作者からの敬意」は、今からでもすぐに使える知識だからしっかり覚えておこう。
◯答え
1、作者から聖への敬意
2、男から嫗への敬意
まとめ
・文法問題では、「誰から誰への敬意か」という敬意の方向が問われる
・地の文(「」ではない文)で使われる敬語は、作者から登場人物に対して敬意を表している
・「」の中で使われる敬語は、「」を話している人(登場人物)から別の登場人物へ敬意を表している
次回は、これまで学んだことを使って、敬語の応用編に挑戦しよう。
ここが理解できれば敬語はもう怖くないよ。
次回も、よろしくね。
次はこちら→【敬語の応用編】2方向の敬意とは?講義形式で分かりやすく説明!