古典文法講座

敬語の基本と本動詞と補助動詞を紹介

浪越考
浪越考
さて、今日から新しい章に入っていくよ
在川葵
在川葵
もう第4章なんだ!けっこうあっという間だったかも。
浪越考
浪越考
この章では、「敬語」を扱っていくよ。敬語は文法問題としてももちろん出てくるし、「誰が何をしているのか」といった文章の内容を正しくつかむためにも大事なポイントなんだ。
在川葵
在川葵
へー、敬語からそんなことも分かるんだ。

ただ言葉遣いが丁寧になるだけだと思ってた。

浪越考
浪越考
特に古文の世界は現代と違って、身分社会が土台にあったから、今よりも敬語に重きが置かれている印象があるね。

だからこそ、第4章を使って、徹底的に敬語を勉強していくよ。
では、はじめましょう!

在川葵
在川葵
はーい!

敬意を表す方法

浪越考
浪越考
まずは、敬意を表現する方法について確認しておこう。

現代語を例に考えてみようか。

◯次の文を敬語に直しなさい。

・先生が昼食を食べる。

浪越考
浪越考
多分大丈夫だと思うけど、先生には一応敬語を使うのが一般的だよ。
在川葵
在川葵
分かってますよ!

(浪越先生には、あんま使ってないけど・・)

浪越考
浪越考
さて、敬語に直すのはどこかな?
在川葵
在川葵
えーと、「食べる」を「お食べになる」かな?
浪越考
浪越考
うん、OK!

じゃ、この「食べる」を「お食べになる」以外の表現で敬語にできるかな?

在川葵
在川葵
あ、そうか。「召し上がる」もそうだ!
浪越考
浪越考
その通り。今、「食べる」という動詞を二通りの敬語に直すことができたね。

このように敬語に直すには、1)動詞自体を変えてしまうか、2)動詞に敬語表現をつけるかの2通りのやり方があるよ。

在川葵
在川葵
確かに、言われてみればそうですね。

メモしました!

<敬意を表すには>

動詞自体を変える

Ex. 言う→のたまふ

・動詞に敬意表現をくっつける

Ex. 乗る→乗り給ふ

本動詞と補助動詞

浪越考
浪越考
敬語にするためには2通りの方法があるのは分かったね。

それを古語で確認してみよう。

・言う→のたまふ

・乗る→乗り給ふ

浪越考
浪越考
「のたまふ」はこれで1語だけど、「乗り給ふ」は「乗る+給ふ」と2語で構成されていることに注目しよう。

「のたまふ」はそれだけで、「おっしゃる」と訳すことができて「動作と敬意」を一度に表すことができる。

でも、対して「給ふ」は「〜なさる」という敬意の意味しか持っていないんだ。なぜなら、動作は「乗る」がすでにあるからね。

このように「動作+敬意」の状態の敬語を本動詞、敬意のみの敬語を補助動詞と言うよ。

これは大事な用語だからしっかり覚えておこう。

在川葵
在川葵
じゃ、さっきの「のたまふ」は本動詞で、「給ふ」が補助動詞になるってこと?
浪越考
浪越考
そうだね。でも厳密に言えば、”今の例で言えば”「給ふ」は補助動詞、かな。
在川葵
在川葵
ん、どういうこと?
浪越考
浪越考
実は、「給ふ」は、もともと「お与えになる」という意味があるんだ。

これって「与える+敬意」だから、本動詞だよね。

在川葵
在川葵
ということは、「給ふ」には本動詞と補助動詞どっちのパターンもあるってこと?
浪越考
浪越考
さすがだね。全くその通り。

だから「給ふ」は本動詞か補助動詞かを見分けていかなきゃダメなんだ。

在川葵
在川葵
うわ、難しそう・・
浪越考
浪越考
心配はいらないよ。

ちょっと考えてみて。補助動詞は「動作がなく敬意だけ」の動詞だったよね。

ということは、動詞にくっついていれば、それは補助動詞と言えるんじゃないかな。

在川葵
在川葵
うーん、分かったような分からんような・・
浪越考
浪越考
そうだね、ちょっと実際にやってみようか。

 練習問題

問題:次の下線部の敬語は本動詞、補助動詞のどちらか

  1.  (帝(みかど)が)かぐや姫の家に入り給うて、見給ふに、
  2.  「さらにまだ見ぬ骨のさまなり。」となむ人々申す
  3.  久しく参らざりければ、
  4.  普賢菩薩象に乗りて見えたまふ
浪越考
浪越考
さて、では順番に説明していくよ。

まず1は、「給ふ」の前に「入り」と「見」という動詞があるね。

つまり、動作自体は、「入る」とか「見る」という意味なので、「給ふ」は敬意を表現するためにくっついているんだ。

在川葵
在川葵
ということは、1は「補助動詞」ね。
浪越考
浪越考
正解!

さて、次は2だけど、「申す」の前には、「人々」と名詞が来ていて、動詞じゃない。

だから、この「申す」はそれだけで「動作+敬意」の意味をもっているはずだね。だから2は本動詞になるよ。

在川葵
在川葵
なるほど、ちょっと分かってきた!

ということは、3は、「参る」の前が「久しく」で、これも動作じゃないから・・

「参る」は本動詞

浪越考
浪越考
正解!いい感じだね。

じゃあ4は?

在川葵
在川葵
えーと、「たまふ」の前は・・「見え」だから動作だ!

なので、4の「たまふ」は補助動詞だね。

浪越考
浪越考
ね、そんなに難しくないでしょ。

ここまでをまとめておこう。

※答え:1、4→補助動詞。2、3→本動詞

 

<本動詞と補助動詞>

◯本動詞

動作+敬意を表現

Ex. のたまふ、おぼす(「思う」の敬語)など

◯補助動詞

敬意のみを表現

Ex. たまふ(=〜なさる)、はべり(=〜です)など

◯見分け方

敬語の前が動詞→その敬語は補助動詞

それ以外→本動詞

浪越考
浪越考
加えて、補助動詞の使い方ができる敬語ってそんなに多くないから、有名なものを覚えてしまうといいよ。
浪越考
浪越考
補助動詞としても使えるのは

  • たまふ
  • 奉る(たてまつる)
  • 侍り(はべり)
  • 仕る(つかうまつる)

などがあるよ。

在川葵
在川葵
はーい!

まとめ

・敬語は文法問題だけではなく、文の主語や目的語など構造をつかむ上でも重要

・敬語には「動作+敬意」の本動詞と敬意のみを表す補助動詞がある

・補助動詞として使うことができる敬語は限られているので、覚えてしまおう

浪越考
浪越考
「のたまふ」「給ふ」など重要な敬語は古文単語帳にものっているので、どんどん覚えていこう!けっこう現代でも使う敬語と似ているものが多いから、安心してね。
在川葵
在川葵
敬語って難しそうだと思ってたから、私にもできそうでよかったー。

次はこちら→【尊敬・謙譲・丁寧】敬語の種類を紹介します!

 

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