今日は、具体的な敬語の種類について考えてみよう。
覚えてるよ。
確か、尊敬語が相手を上に上げる使い方で、謙譲語が自分を下げて敬意を表す、だよね。
ここはなんかよく覚えてるんだ〜
今日は、古文での尊敬語と謙譲語の考え方を紹介するから、しっかりついてきてね。
尊敬語=動作の主体への敬意
- 先生が映画をご覧になる。
- 社長は7時にお越しになります。
- 校長先生が入学式でお話なさる。
全部、「主語に対する敬意」を表しているよね?
- ご覧になる→先生
- お越しになる→社長
- お話しなさる→校長先生
尊敬語・・・動作の主体への敬意を表す
◯主な尊敬語
- 給ふ(たまふ)・・お与えになる(本)/〜なさる(補)
- おぼす・・お思いになる
- ご覧ず・・ご覧になる
- 召す・・お呼びになる、(服などを)お召しになる
謙譲語=動作の客体(受け手)への敬意
謙譲語の例を見てみよう。
- 5時に先生のもとへ参ります
- 失礼ながら申し上げますが・・
- ご用件を承りました
3番目の「承りました」はちょっと難しいけど、相手からしたら「了解された」ということだから動作の受け手と考えることができるよ。
謙譲語・・・動作の客体への敬意を表す
◯主な謙譲語
- 奉る(たてまつる)・・差し上げる(本)/〜し申し上げる(補)
- 参る・・参上する
- まかる・・退出する
丁寧語=聞き手、読み手への敬意
それが丁寧語だ。
例えば、学校の先生で説明する時「〜です」「〜ます」とですます調で授業をする先生がいるよね?
昔話とかも丁寧語で書かれているね。
とりあえずは、「侍り(はべり)」と「候ふ(さふらふ)」の2つを覚えておけばOKだ。
丁寧語・・・聞き手or読み手への敬意を表す
◯主な丁寧語
- 侍り(はべり) ございます(本)/〜です(補)
- 候ふ(さふらふ) ございます(本)/〜です(補)
「侍り」「候ふ」は「お仕えする」という意味で使うときは、謙譲語になります。
謙譲語の「侍り」「候ふ」には補助動詞の使い方がないので、補助動詞でこの二つが出てきたら、丁寧語だと分かります。
本動詞、補助動詞の判別法はこちらの記事を参考!→敬語の基本と本動詞と補助動詞を紹介
練習問題
じゃあ、実際に練習してみよう。
◯次の下線部の敬語について、1)敬語の種類と、2)誰に対する敬意かを答えなさい。
- 聖、喜びて、日ごろのおぼつかなさなどのたまふ。
- 普賢菩薩、象に乗りて見えたまふ。
- (男が言った、)「嫗ども・・・寺に尊き業すなる、見せたてまつらむ。」
- 二年が間、世の中飢渇(けかつ)して、あさましきこと侍りき。
◯現代語訳
- 聖は、喜んで、ここ数日のじれったさなどをおっしゃる。
- 普賢菩薩が、象にのって姿を見せなさった。
- (男が言った、)「お婆さんよ、寺で尊い行いをするらしいが、それをお見せ申しあげよう。」
- 2年間、世の中が飢饉に苦しみ、おどろきあきれることがございました。
<解説>
ところで、この「たまふ」は本動詞、補助動詞どっちだろう?前回の方法を思い出してみて。
前に動詞があれば補助動詞だったっけ。だから、この「たまふ」は補助動詞かな?
補助動詞には敬意表現しかないから動詞とセットで使わないといけないんだったね。
数百年の時を隔てて、今の僕たちに向けて敬語が使われているってなんかすごいよね。
◯解答
- 尊敬語・本動詞、聖への敬意
- 尊敬語・補助動詞、普賢菩薩への敬意
- 謙譲語・補助動詞、嫗への敬意
- 丁寧語・本動詞、読者への敬意
まとめ
・尊敬語は動作の主体に対する敬意を表現する
・謙譲語は動作の客体に対する敬意を表現する
・丁寧語は話の聞き手、読み手に対する敬意を表現する
つまり、敬語には、尊敬・謙譲・丁寧の区別と本動詞・補助動詞の区別がそれぞれあるんだね。
ということは、全部でパターンは何通り?
数学はもっと苦手なのに・・
答え:6通り
おつかれさまでしたー!
次はこちら→【誰から誰へ?】敬意の方向を解説します