古典文法講座

完了の助動詞「つ」「ぬ」を解説!【古典文法】

古典文法講座の第2章「助動詞」。今日は、完了の助動詞を説明していきます。

今日習うのは、いずれも助動詞のレギュラーメンバーというべき高頻度で登場するものたちばかりです。

助動詞ー意味ー接続の3点セットで確実に覚えていきましょう。

完了の4助動詞

「完了」の意味を表す助動詞は全部で4種類。

「つ」「ぬ」「たり」「り」です。

これらは完了以外にも文法的意味を持っていて、「つ」「ぬ」は「強意」、「たり」「り」は「存続」という意味があります。

図にするとこんな具合です↓

意味的には、「つ」「ぬ」と「たり」「り」が近いですね。

接続は「つ」「ぬ」「たり」が連用形接続なのに対して、「り」は少々特殊な接続をします。

4つ全てをいっぺんに扱うとかなりの長文になりそうなので、今日は「つ」と「ぬ」に絞って説明していきます!

「つ」、「ぬ」の基本情報

※画像サイズがバラバラですみません・・

 文法的意味

  1.  完了「〜てしまった」
  2.  強意「きっと〜」
  3.  並列「〜たり、〜たり」

「つ」「ぬ」には、完了の他に意味が二つあります。といっても、3の並列はほとんど出てこないので、実質は完了か強意のどちらかになります。強意については、のちに説明します。

 接続

先ほども述べたように連用形接続です。前回の「き」「けり」と合わせて、過去・完了は連用形接続と覚えてしまうといいでしょう。

他の助動詞との連携が得意

完了の助動詞でよく目にするのは「つ」と「ぬ」です。

「完了」の意味は、「〜てしまった」と現代語に直すのが一般的です。

過去とどう違うのかと言われると、過去が以前の事実を述べるのに対し、完了はそこまでの時間的な流れを含んだ動作、状態の終了を表します。(とはいえ、古文でここまで厳密な使い分けがなされているかと言われると、正直微妙なところです。)

この「つ」「ぬ」という助動詞の一番の特徴は、他の助動詞とのコンビプレーが非常に多いところにあります。

 過去の助動詞と連携

代表的なのは、前回やった過去の助動詞「き」「けり」との連携プレー。

「き」や「けり」の上に「つ」「ぬ」が付きます。

さて、上に付く「つ」「ぬ」の形はどうなるでしょうか?

そうでした。「き」「けり」は連用形接続ですから、「つ」→「て」、「ぬ」→「に」となります。

<完了+過去の助動詞のパターン>

・てけり

・にけり

・にき

・にし

このような文末になった場合、完了+過去のパターンがほとんどだと思って問題ありません。

訳し方は「〜てしまった」とするのが王道です。完全に「過去」が「完了」の訳にぬりつぶされてしまいます。(果たしてこれで「連携」と言えるのかというツッコミはやめてください。)

 推量(系)の助動詞と連携

この「つ」「ぬ」は推量(系)の助動詞(いずれ出てきます)とも連携します。

そして、なんと推量と連携する時、「つ」「ぬ」は新たな文法的意味を獲得します。

それが「強意」推量の意味を強化する役割を持っており、今回は完全にサポート役に回っています。

推量系の助動詞にどんなものがあるかというと、まず「む」「べし」の2強。そして、「らむ」、さらには「まし」という助動詞とも協働します。

実際には以下の形で出てきます。

<強意+推量となるパターン>

・てむ、なむ

・つべし、ぬべし

・つらむ、ぬらむ

・てまし、なまし

この時の「つ」や「ぬ」の意味は「完了」ではなくて「強意」です。訳す際には、「きっと〜だろう」と訳し、「きっと」のところに「強意」の意味が反映されています。

場合によっては、強意の意味を訳そうとすると日本語として不自然になってしまうことがあります。その場合は、無理に「きっと」と書く必要はありません。

打ち消しの助動詞「ぬ」と見間違わないように注意!

次の二つの文を見てください。

1、花咲きぬ。

2、花咲かぬ。

1と2、どちらも「ぬ」が使われていますが、片方は完了の「ぬ」で、もう片方は打ち消しの助動詞「ず」の連体形です。どっちがどっちか分かりますか?

ヒントは、「ぬ」の前を見てみましょう。「咲き」と「咲か」で微妙に違いますね。

ここで思い出して欲しいのが、「接続」という概念です。

助動詞には、それぞれ前に来る言葉がどんな活用形なのかが決まっていました。

完了の「ぬ」は連用形接続でした。つまり、直前の「咲く」という動詞が連用形になっている方を選べばいいわけです。

さあ、ここで復習といきましょう。

動詞「咲く」の活用の種類はなんでしょうか?

※やり方を忘れてしまった人は以前の記事で復習してみましょう。

【古典文法】動詞の活用の種類を識別するための簡単2ステップ

「ず」をつけて「咲かず」となるので、四段活用ですね。ということは、「咲く」はカ行四段活用です。(サ行ではないので注意。)

→活用の行については、形容動詞&語幹について説明します!【古典文法】 の最後に説明しています。よかったら覗いてみてください。

ということは、「咲く」の連用形の形は「咲き」。したがって、1が完了の助動詞の「ぬ」です。

それぞれの現代語訳は次のようになります。

1、花咲きぬ。 →花が咲いてしまった。(咲いた。)

2、花咲かぬ。 →花が咲かない。

たった一文字違うだけで、意味が真逆になってしまいます。

見分けるポイントをまとめておきましょう。

<「ぬ」の見分け方>

・連用形+ぬ→完了の助動詞「ぬ」

・未然形+ぬ→打消の助動詞「ず」

この区別は、文章を読解するために不可欠です。普段から練習をしておきましょう。

これで100%見分けられるというわけではありませんが、これを知っておくだけでもだいぶ判別が簡単になります。

もっと細かい見分け方については、他の記事で解説しようと思います。

まずは、上が連用形なら完了、未然形なら打消を覚えましょう。

まとめ

今日のポイントです。

・完了「つ」「ぬ」は「き」「けり」とセットで使われやすい

・「つ」「ぬ」が推量系の助動詞と連携するとき、「強意」の意味に変化する

・上が未然形なら打消し、連用形なら完了で見分ける

「つ」「ぬ」は他の助動詞との連携で登場することが本当に多いです。特に推量の助動詞とのつながりで「強意」となることを忘れがちになるので、十分に注意しましょう。

次回は、このまま完了の助動詞の残り2つ、「たり」と「り」に進んでいきます!

第2章の初めのページはここから。

助動詞完全攻略!まずは全体像をつかもう【古典文法】

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