古典文法講座

完了の助動詞後半戦「たり」「り」の意味、接続をチェック!

昨日に引き続いて、今日は完了の助動詞の残り2つを説明していきます。

※前回はこちら

完了の助動詞「つ」「ぬ」を解説!【古典文法】

昨日の図をもう一度出してみましょう。

今日は、左下の「たり」「り」をやっていきます。

完了・存続の助動詞「たり」「り」

昨日学んだ「つ」「ぬ」も完了の助動詞でしたが、他に「強意」「並列」という意味もありました。

今日の「たり」「り」も完了だけではなく、「存続」という意味を持っています。

存続とは動作や状態が継続していることを表し、「〜している」という風に現代語で訳します。

たり:そっくりさんが他にも2人

 文法的意味

1、完了(〜てしまった)

2、存続(〜ている)

 接続

連用形。昨日に引き続き「過去・完了は連用形接続」のルールで覚えられますね。

「たり」で注意なのは、文章で「たり」と登場するものが完了の助動詞以外にも2つもあり、見分けがつきにくい点です。(こればかり言っているような気もしますが・・)

その”そっくりさん”2人とは

  1.  形容動詞タリ活用
  2.  断定の助動詞「たり」

です。どちらも「たり」が出てきていますね。

とはいっても、見分け方はさほどやっかいではありません。

完了の助動詞の「たり」は連用形接続ですから、上の言葉が連用形になっているかどうかを確認するだけでOKです。

文法的意味の「完了」と「存続」は同じくらいの頻度で登場します。「〜てしまった」「〜ている」のどちらの訳が適切かを文脈から判断することで意味を決定していきましょう。

り:りかちゃんさみしい!

 文法的意味

1、完了(〜てしまった)

2、存続(〜ている)

 接続

サ行変格活用の未然形、四段活用の已然形

この「り」だけが過去・完了系の助動詞の中で、連用形以外に接続します。しかも、サ変は未然形、四段は已然形と少々複雑です。

これを一気に覚えるための言葉が、見出しの「りかちゃんさみしい」です。

<「り」の接続の覚え方解説>

りかちゃんの「り」が完了の助動詞「り」を表しており、「さみしい」は

さ・・サ変

み・・未然形

し・・四段活用

い・・已然形

ということです。もう忘れませんね。

そして、必ず「りかちゃんさみしい」と、りかちゃんも込みで覚えてください。恥ずかしくてもこれは絶対です。

さみしいだけで覚えると、結局どの助動詞が「サ未四已」接続なのかを忘れてしまうからです。

たとえあなたがりかちゃんだったとしても、「りかちゃんさみしい」で覚えてください。

 「り」は出てくると違和感で分かる?

完了の「り」は已然形に接続する特殊な助動詞なので、古文を読み慣れていくと、感覚的に分かるようになってきます。

読んでいて、「り」のところでなんか違和感があるからです。

例えば、「食べてしまった」を古語で言えば、完了、過去の助動詞を駆使して、「食ひにけり」と来るのが自然です。

これを「り」を使って表すと「食へりけり」になります。

どうですか?「食ひにけり」ではスムーズに流れていたのが、「食へりけり」は何だかアップダウンがあるような感じしませんか?

こういった感覚って語学ではけっこう重要だと思っていて、読解の密度、速度を高めます。そして、このセンスは練習を重ねれば誰にでも身につくものです。このブログも参考にしながらセンスを磨いていってください!

過去・完了でワンセット

さて、今日まで過去の助動詞、完了の助動詞と3回講座を展開してきましたが、習った助動詞「き」「けり」「つ」「ぬ」「たり」「り」をワンセットで覚えてください。

一度声に出して言ってみましょう。

き、けり、つ、ぬ、たり、り

OKでしょうか?これが過去・完了系の助動詞です。(※接続は「り」以外全て連用形)

助動詞の数は30近くあって、確かに一つひとつ覚えていくのは大変ですが、このように意味や接続する活用形ごとにグループ化することで、負担が軽減されます。

この手法は「チャンキング」と呼ばれ、認知心理学などの分野でよく用いられる用語です。

むやみに30語単語を覚えるよりも、意味ごとにまとめて覚えたり(抽象化)、3単語を使って1つの例文にして覚えたり(結合)することで、チャンク=塊にして、覚えるべき事柄の個数を減らすのがポイントです。

今の例も、「つ」「ぬ」「たり」「り」という6個の助動詞が、「き、けり、つ、ぬ、たり、り」という過去・完了系の助動詞という1つのグループにまとまっており、覚える作業が一気に楽になります。

古文以外でも使える手法なので、ぜひ英単語や世界史などでも試してみてください。

「100個のものを一つの塊で覚える」みたいに、あまりに多くのものをまとめるのはさすがに効率が悪いです。自分にとってほど良いまとまりをつくることを心がけましょう。

まとめ

本日のまとめです。

・完了、存続の助動詞は「たり」「り」

・「たり」は形容動詞、断定の助動詞と混同しがち

・「り」は「りかちゃんさみしい」で接続を暗記

次回は、今日ちょっと登場した断定の助動詞をやろうと思います。

もし可能なら「キテレツ大百科」というアニメを5分でもいいので見てから、次の授業に進んでください。笑

では、またお会いしましょう^^

次はこちら→断定の助動詞「なり」「たり」を特集【形容動詞との見分けがカギ】

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