今日は、天皇や皇后など特に身分の高い人に関連して使う敬語を説明して行くよ。
さあ、今日もがんばっていこう!
絶対敬語
絶対敬語というのは、天皇や皇后など限定された地位の人しか使わない敬語のことを言うんだ。
覚えておくべき絶対敬語は「奏す」と「啓す」の2つだけだよ。
「奏す」は「天皇に申し上げる」という意味の謙譲語、
「啓す」は「中宮(ちゅうぐう)・東宮(とうぐう)に申し上げる」という意味で、こっちも謙譲語だよ。
「宮」というのは、皇族の人の呼び名です。現代でも「〇〇宮」というふうに言いますね。
ただし、古文では「〇〇宮」で人の名前を指すときと、建物(場所)の名前を指すときがあるので要注意です。
古文では登場人物がたくさん出てきたとしても、実際に会話をしているのは2人というケースが多いから、片方が分かってしまえばもう片方も自然と分かる、というわけだね。
例えば、「〇〇」と奏す、とあれば、会話を聞いているのが天皇で話しているのが天皇じゃない方、というのがすぐに分かるからね。
◯絶対敬語・・特定の相手にしか使わない敬語
・奏す(謙譲語)→天皇に申し上げる
・啓す(謙譲語)→中宮・東宮に申し上げる
二重尊敬
二重尊敬とは、主語が特に偉い人の場合、尊敬の助動詞と尊敬語を重ねて使う、という表現のことを言うよ。
具体的には「る」「らる」「す」「さす」「しむ」の5つだよ。
一応以前の記事も貼っておくね。
・これならむとおぼして、近く寄らせ給ふに、
・「あれ取れ。」と、宮の仰せられければ、
ささ、次いきましょう、次!
◯二重尊敬・・尊敬の助動詞+尊敬語で最高度の敬意を表す
Ex. せ給ふ、させ給ふ、仰せらる、などなど
※「せ給ふ」「させ給ふ」は、文脈によっては「使役+尊敬語」となる時もあるので注意
※「最高敬語」と呼ぶこともある
自尊敬語
簡単に言えば、天皇などの偉い人が自分で自分に敬語を使う、ということだね。
当時の人がどこまで自覚して使っていたのかは分からないけど・・
だから、自尊敬語は基本的に「」の中でしか使われないよ。
◯自尊敬語・・帝など、最高度の身分の人が自分で自分に対して敬語を用いることがある。
ゆえに、基本的に「」の中で使われ、敬意の方向は「帝から帝へ」のようになる。
※「自敬表現」と呼ぶこともある。
まとめ
・絶対敬語「奏す」「啓す」などは天皇・皇后などの特定の相手にしか使わない
・尊敬の助動詞と尊敬語を重ねて、最高度の敬意を表す二重尊敬
・自分で自分に敬語を用いるケース(自尊敬語)もある
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