古典文法講座

係結びと係助詞を合わせて確認!【古典文法講座】

前回で、助詞の山場である格助詞を無事クリアできました。

→前回:【接続助詞との違いは?】格助詞「を」「に」+その他を紹介します

今日からは文を強調するための様々な助詞を紹介していきます。

相手に自分の思いを伝えるためには、構造をはっきりさせるのも大事ですが、自分のどの部分を最も強く伝えたいのか、強調する必要もありますね。

古文で強調といえば、「係結び」です。

今日は、係結びを起こす助詞「係助詞」について学んでいきましょう!

<今日、登場する係助詞>

  • なむ
  • こそ

復習:係結び

まずは、簡単に係結びについて復習しておきましょう。

係結びとは、「文中に係助詞が来ると、本来終止形となる文末が連体形や已然形に変化する」という文法でした。

その係助詞にはどんなものがあったかと言えば、

ぞ、なむ、や、か→文末は連体形

こそ→文末は已然形

の5つがあったのでした。

今日学ぶ「係助詞」というのは、まさにこの5つなのですが、それに加えてあと2つ「は」「も」という係助詞が存在します。

それらは係助詞のグループに入っているのですが、係結びを起こすわけではありません。

一説では、「は」「も」は係結びを起こさないのではなく、「文末を終止形に変化させる」という係結びなのだと考えられています。いずれにしても、文末が連体形になったり、已然形になったりするのは、「ぞ・なむ・や・か・こそ」の5つだけです。

係結びを起こす係助詞

まずは、係結びを起こす助詞をまとめて説明します。

 ぞ、なむ、こそ

訳し方:特に訳す必要なし

係助詞のうち、「ぞ」「なむ」「こそ」は「強意」という意味を持ちます。

さて、強意という用語、どこかで聞き覚えありませんか。

そうですね、完了の助動詞「つ、ぬ」で出てきました。

強意=強調です。

「ぞ」「なむ」については、消滅してしまいましたが、「こそ」は今でも強調の意味を込めて使いますね。

訳し方ですが、完了の助動詞のときには「きっと」などの訳を採用していましたが、係助詞の場合は特に訳をする必要はありません。

ああ、強調されてるんだな、と理解できていればOKです。

 や、か

訳し方:1)〜だろうか(疑問)、2)〜だろうか、いや〜ない(反語)

「や、か」を入れることで文を疑問文にすることができます。

鳥鳴きけり→鳥が鳴いた

鳴きける→鳥が鳴いたのか?

といった感じです。(文末が連体形になっていることに注意)

このようにして疑問の意味を表すことができるのですが、疑問って、文脈によっては疑問の意味で使っていないときがありますね。

例えば、

・夏休みに学校の先生から大量の宿題を出されて、「こんなにたくさんの宿題、できる人いますか?」と言う時

・財布を盗んだ犯人に疑われて、「僕が盗みをするような人に見えますか?」と言う時

これ全部、相手に尋ねてはいるけれども、本当に相手がどう思っているかが知りたいわけではないですよね。

宿題のことであれば、伝えたいのは「だれもできっこない」だし、財布の文では「僕はそんな人じゃない」です。

このように強い否定を表したいときに、あえて相手に問いかけるというやり方をします。

これが反語です。

ゆえに、訳をするときには、「〜だろうか(いや、〜ない)」と否定(自分の主張)が続きます。

ちなみに「じゃあいつやるか、今でしょ!」は・・・

反語?ではないですね・・

文中では、疑問になるか反語になるかは、その都度文脈を見て判断していく必要があります。

読解のポイント〜こそ+已然形〜

せっかく係助詞について勉強したので、読解上知っておくと便利なポイントを紹介しておきます。

係助詞「こそ」→文末が已然形、となるのは先ほど学びました。基本的には、文末が已然形になって終わりなのですが、已然形のあとも文が続いていくことがあります。

次の文を見てください。

おのが身は、この国に生まれて侍らばこそ使ひ給は、いと率ておはしましがたくや侍らむ

本来なら「侍らばこそ使ひ給はめ。」と文が終始するのですが、文が続いています。

こそ+已然形で文が続いていく場合、「〜けれども」と逆接の意味で訳していきます。

もう一度きちんと書いておきます。

<読解のポイント>

こそ+已然形、→〜けれども

先ほどの例文でこの訳を当てはめてみましょう。

現代語訳:私の体がこの国に生まれておりましたならば、(私をあなたの下に)仕えさせることもできたでしょうけれども、(そうではございませんので)とても連れて行くのは難しくてございます。

例文が長くて難しいのですが、感じはつかめました?

けっこう読解のカギになったりするので、ぜひ覚えておきましょう!

係結びのない係助詞

 は、も

訳し方:〜は、〜も

係助詞は基本的に「強調」の性質をもっています。

たとえ係結びが起きないとしてもです。

ゆえに「は」「も」に関しても、それを使う時、強調のニュアンスを表現することができます。

「は」と「も」をそれぞれ似たような場面で使う「が」と「と」と比較してみましょう。

1−1 彼女言った。

1−2 僕こう思う。

2−1 ケーキアイスが食べたい。

2−2 ケーキアイスも食べたい。

さて、ここに似たようなペアの文を2組並べてみました。

まず一つ目、「彼女が言った」は普通に事実を描写したように感じます。

しかし、下の文、「僕はこう思う」はどうでしょうか。「(他の人はわからないけど)僕はこう思う」みたいな雰囲気がありませんか。

実は、もともとの「は」はこのように「他と比較して自分は」という強調の意味で使う助詞だったのです。

今でこそ、主語「〜は」とするのが一般的ですが、「は」このような由来があるのです。

二つ目はもっと分かりやすいですね。

単に「ケーキとアイス」と言うよりも、「ケーキもアイスも」と言った方がより「どっちも食べたい感」を表すことができています。

係助詞が「強調」の助詞であるということ、なんとなく理解していただけたでしょうか。

まとめ

それでは今日のまとめです。

・係助詞は係結びを起こし、基本的に強調の意味がある

・「や」「か」は疑問・反語の意味を表し、文脈から判断する必要あり

・係助詞は現代語に訳すときには無視してOK

係結びは単なる文法事項として処理されがちですが、文の読解上、大切なポイントです。

また今後、読解で係助詞を使う方法も記事にする予定ですので、そちらも合わせて見てみてください^^

それでは、今日はこのへんで終わりましょう。お疲れ様でした!

 

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