古典文法講座

【接続助詞との違いは?】格助詞「を」「に」+その他を紹介します

前回は、主格や同格など入試によく出る「の」という助詞を解説しました。

主格、同格・・格助詞「の」の用法を解説します!

さて、今日は格助詞のつづきなのですが、今日やる助詞はそこまで入試に出るというわけではありません。

しかし、テストには出ないのですが、文章にはいくつも登場します。

そして、扱い方を知らないと、なかなか苦戦します。

そこで今日は、そうした「文章でよく見る格助詞」たちを一挙に説明していきます!

<今日、登場する格助詞>

  • より
  • から
  • にて
  • して

「を」「に」

訳し方:〜を、〜に

最初に紹介するのは「を」「に」です。

「を」も「に」も使い方がたくさんあって、それをすべて覚えるのは厳しいので、とりあえずは一括で「〜を」「〜に」と訳してしまって問題ありません。

「を」や「に」って接続助詞のところでも出てきませんでしたっけ、と思った人もいると思います。

そうなんです。

注意が必要なのは、どう訳すかよりも接続助詞と格助詞の区別です。

ここで区別の方法を紹介します。

<格助詞と接続助詞の見分け方>

  1.  直前に場所や人→格助詞
  2.  後ろに「〜に」「〜を」を受ける動詞がある→格助詞
  3.  「に」「を」を「〜ので」「〜けれども」「〜すると」に変えてみてもしっくりくる→接続助詞
  4.  それ以外→格助詞

 1、直前に場所や人なら格助詞

まずは、よく使われる格助詞の用法、「場所」「対象」の線を考えます。

格助詞というのは、文の構造を決める助詞です。

なので、「午の刻に」とか「宮に」といったように、「に」の対象となるものが来ていれば格助詞だと判断できます。

 2、後ろに、「〜に」「〜を」を受ける動詞がある→格助詞

格助詞であるということは、「〜に」「〜を」と対象を指示する役割を持っているので、当然その対象に(あるいは対象を)どうするのか、を示す動詞が後ろに来ているはずです。

現代語ですが、例文で考えてみましょう。

1、がんばったの試合に負けてしまった。

2、親戚のおじさんが私と弟おこづかいをあげた。

さてこの文、どちらが接続助詞でどちらが格助詞でしょうか?

今説明したポイントを使ってみます。

2の文を見ると、「に」が指示する対象は「私と弟」です。すると当然、文の意味を成り立たせるためには、「私と弟にどうするのか」という内容が必要です。

そしてきちんとその内容が続いていますね。

「おこづかいをあげる」もっと言えば、「あげる」が対象を受ける動詞です。

このように「〇〇〜する」、「〇〇〜する」という関係がきちんと成り立っているなら、格助詞だと判断できます。

 3、「に」「を」を「〜ので」「〜けれども」「〜すると」に変えてもしっくりくる→接続助詞

これは、簡単ですね。

「〜ので」「〜けれども」といった接続の意味を当てはめてみて、通じるかどうかを見るだけです。

先ほどの「がんばったのに、試合に負けてしまった」という文は「に」を「だが」に変えれば、

「がんばったのだが、試合に負けてしまった」とピッタリ意味が通じます。

よって、ここでは接続助詞の使い方だと分かります。

 4、それ以外→格助詞

だいたいは上の方法で判断していけますが、まれに「ここまでのどの手段にもあてはまらないケース」が存在します。

その時は、深く考えず格助詞でOKです。

なぜなら、接続助詞は3で当てはめた訳が全てなので、ここでしっくりこないなら接続助詞である可能性はないと言えます。

反対に、格助詞(特に「に」)は意味がたくさんあるので、1や2のケースに該当しないこともあります。

よって、どれにも当てはまらないと感じるものに対しては、格助詞と判断して先に進みましょう。

 とはいえ、微妙なものもある

格助詞の「に」と接続助詞の「に」はなかなか分かりづらくて、「正直どっちでも意味通じるんじゃないか」ってものも存在します。

最初にも言ったのですが、そこそこの難関私大でなければ、格助詞or接続助詞の「に」の識別は出てこないので、そこまで神経質になる必要はありません。

とりあえずは、格助詞と接続助詞の「に」が存在する、ということを覚えておいてください。

その他の格助詞

それでは、その他の格助詞を紹介していきます。

 より

訳し方:

  1. 〜から
  2. 〜より
  3. 〜を通って
  4. 〜によって
  5. 〜するやいなや

一応、すべてのパターンを書きましたが、よく出てくるのは1と2、まれに3〜5が出ます。

すべて覚え切るのは大変なので、「〜より」以外にも「〜から」と訳せることを覚えておきましょう。

 から

訳し方:〜から

「より」にある「〜から」の使い方と同じです。

 にて

訳し方:

  1. 〜で
  2. 〜によって

どちらかの訳し方でいけます。

形容動詞のナリ活用と区別がつきにくく、文法問題でもたまに出てきます。

形容動詞かどうかは、前にくる名詞に「いと」をつけても意味が通る→形容動詞、という見分け方ができましたね。

断定の助動詞「なり」「たり」を特集【形容動詞との見分けがカギ】

 と

訳し方:〜と

だいたいは「〜と」とそのまま訳しても意味が通じます。

推量の助動詞「む」でちょっと出てきた『引用の「と」』(覚えてますか?)は、まさに格助詞の「と」です。

【助動詞の牙城】推量の「む」「むず」を徹底解説!

 して

訳し方:

  1. 〜で
  2. 〜と一緒に
  3. 〜に命じて

3の使役の意味が大事です。使役の助動詞を勉強したとき、漢文に「AをしてBせしむ」という使役の構文があるよーという説明をしましたが、その「を」が抜けたバージョンだと思ってください。

尊敬の助動詞「す」「さす」「しむ」を説明【漢文とリンクさせよ】

 へ

訳し方:〜へ

これもそのままです。方向を表す助詞です。

まとめ

・格助詞「に」「を」は接続助詞と判別が難しい

・「〜に」にあたる対象がある場合や、後ろに対象を受ける動詞がある場合→格助詞

・「〜ので」「〜けれども」「〜と」と訳して通じる→接続助詞

後半は、サクサク行きましたが、現時点で全てを覚える必要は全くありません。

学校の予習で現代語訳をするとき、模試の答え合わせで現代語訳の解答を確認する時、「この助詞ってどうやって訳してるのだろう?」と考えて、文法書やこの記事に戻って調べてみる。

そんな感じで全然OKです。

ただし、「を」「に」については、格助詞だけではなく、接続助詞にも存在すること、そして前回学んだ格助詞の「の」についてはしっかり覚えておいてください。

次はこちら→係結びと係助詞を合わせて確認!【古典文法講座】

 

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