今日は、敬語を使って文章を読解する方法を紹介していくよ。
前回の講座はこちら→【絶対敬語と二重尊敬】最高身分への敬意表現を紹介!
敬語の演習問題
<本文>
①中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに、/②「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。・・・」と申したまふ。
・・・(中略)・・
③「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば、/④「すべていみじうはべり。・・・まことにかばかりのは見えざりつ。」と言高くのたまへば、
⑤「さては、扇のにはあらで、くらげのななり」と聞こゆれば・・・
※わかりやすいように番号を打って区切っています。
①の解説
①中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに
中納言が誰かのもとに「参上した」ということは、誰か偉い人のところにやってきた、ということが分かるね。
どうしてか分かるかな?
作者からすれば、動作の主語、受け手どちらとも偉い人だから、謙譲語と尊敬語を重ねて使っているんだ。
これを「2方向の敬意」と言ったね。
②の解説
②「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。・・・」と申したまふ。
③の解説
③「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば
でも骨って何?
中略のところで詳しく書かれているんだけど、その骨が本当にすごいので、普通の紙じゃ貼れないだろうからってことで、その紙を探しにきたんだ。
④の解説
④「すべていみじうはべり。・・・まことにかばかりのは見えざりつ。」と言高くのたまへば、
4は、「どんな骨なの?」と聞かれてそれに答えるわけだから・・
中納言はこう答えているね。「すべてがすばらしいんです!ほんとうにこんな骨見たことありません!」
丁寧語の敬意は誰から誰に対してだったかな?
ここでは話しているのは中納言だから、聞いている人に向けて敬意を込めているんだ。
⑤の解説
⑤「さては、扇のにはあらで、くらげのななり」と聞こゆれば
敬語に注目してみて、何か気づくことはない?
ちなみにこの「聞こゆ」というのは謙譲語だよ。
すると、この「くらげのななり」を聞いていた人は偉い人だけど・・
でも、これまで出てきた人は中納言ともう一人の偉い人の二人だけだよね・・
そう、この発言は前に出てきた二人のどちらのものでもなく、作者(=清少納言)のものだと考えられているんだ。
敬語を分析することで、「偉い人とそうでない人の動作を見分けることができる」んだ。
だから敬語は読解上、とても大切なんだよ。
例えば、電車で二人の会話が聞こえてきたとする。
一方は敬語でもう一方は敬語なしだ。
たとえ姿が見えなくても、敬語を手がかりにすれば、どっちがどっちに話しかけたかが分かるね。
それと一緒だよ。
まとめ
<読解に役立つ敬語>
・尊敬語が使われていれば、主語が偉い人
・謙譲語が使われていれば、動作をされる側が偉い人
・敬語がなければ、偉い人ではない。
あとは、実際の文章の中でどんどん練習を積んで行こう。
◯次回はこちら→【最終章突入】まずはこれをしよう。和歌の読解の基本を紹介!
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