古典文法講座

【敬語編最終回】敬語から主語、対象を見抜け!

浪越考
浪越考
いよいよ敬語編も今日で最終回だね。
在川葵
在川葵
もっと複雑だと思ってたけど、尊敬語や謙譲語などの定義をしっかり抑えていけば、意外とシンプルなんだね。
浪越考
浪越考
その通り!そして、敬語が使えるようになれば、文法問題だけじゃなくて、読解においても非常に有利なんだ。

今日は、敬語を使って文章を読解する方法を紹介していくよ。

前回の講座はこちら→【絶対敬語と二重尊敬】最高身分への敬意表現を紹介!

敬語の演習問題

浪越考
浪越考
これまでも何度か登場した文章だけど、ここでまとめて読んでみよう。有名な枕草子の文章だよ。

<本文>

①中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに、/②「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。・・・」と申したまふ。

・・・(中略)・・

③「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば、/④「すべていみじうはべり。・・・まことにかばかりのは見えざりつ。」と言高くのたまへば、

⑤「さては、扇のにはあらで、くらげのななり」と聞こゆれば・・・

※わかりやすいように番号を打って区切っています。

 ①の解説

①中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに

浪越考
浪越考
まず①から行こうか。

中納言が誰かのもとに「参上した」ということは、誰か偉い人のところにやってきた、ということが分かるね。

在川葵
在川葵
そっか、「参る」は謙譲語だもんね。
浪越考
浪越考
そう。そして、その下に「給ふ」があるから中納言も偉い人ということになるね。

どうしてか分かるかな?

在川葵
在川葵
「給ふ」は尊敬語。動作の主語への敬意を表すからでしょ。
浪越考
浪越考
お、すごいね。基本がだいぶ身についてきたようだね。
在川葵
在川葵
えへへ。
浪越考
浪越考
だから、①の部分は「中納言(偉い人)が別の偉い人のところにやってきた」というシーンというわけだね。

作者からすれば、動作の主語、受け手どちらとも偉い人だから、謙譲語と尊敬語を重ねて使っているんだ。

これを「2方向の敬意」と言ったね。

 ②の解説

②「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。・・・」と申したまふ。

浪越考
浪越考
さて、次は②のシーン。「隆家こそ」というのは、自分のことを強調して「私隆家は」という意味で、「私隆家は、すごい骨を手に入れましたよ〜」と偉い人に申し上げたところだね。
在川葵
在川葵
自慢しにきたの?
浪越考
浪越考
うん、そんな感じだね。ここは問題なしだね。では③に進んでいこう。

 ③の解説

③「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば

浪越考
浪越考
3は「どのようであるのか?」と尋ねているね。話の流れから行けば「何に対してどのようであるか」を聞いていることになる?
在川葵
在川葵
骨?

でも骨って何?

浪越考
浪越考
うん、そこが今回のポイントなんだ。中納言はその(自称)すばらしい骨に紙を貼って、すばらしい扇を作って差し上げようと思ってきたんだね。

中略のところで詳しく書かれているんだけど、その骨が本当にすごいので、普通の紙じゃ貼れないだろうからってことで、その紙を探しにきたんだ。

在川葵
在川葵
へえー
浪越考
浪越考
つまり、もう一人の偉い人が「どんな骨なの?」と中納言に尋ねたわけだね。

 ④の解説

④「すべていみじうはべり。・・・まことにかばかりのは見えざりつ。」と言高くのたまへば、

浪越考
浪越考
さて、4にいくよ。

4は、「どんな骨なの?」と聞かれてそれに答えるわけだから・・

在川葵
在川葵
中納言の発言ね!
浪越考
浪越考
そう!

中納言はこう答えているね。「すべてがすばらしいんです!ほんとうにこんな骨見たことありません!」

在川葵
在川葵
全然具体的じゃないけど、とにかくすごい骨なんだね・・
浪越考
浪越考
ここで丁寧語の「はべり」が使われていることにも注目しておこう。

丁寧語の敬意は誰から誰に対してだったかな?

在川葵
在川葵
えーと丁寧語は・・・話し手から聞き手への敬意だったっけ?
浪越考
浪越考
うん、よく覚えてたね。

ここでは話しているのは中納言だから、聞いている人に向けて敬意を込めているんだ。

在川葵
在川葵
聞いている人はもう一人の偉い人?
浪越考
浪越考
そう、だけどその人だけかな?
在川葵
在川葵
え、他にも登場人物がいるの?
浪越考
浪越考
ふふふ、さて次の5に進もうか。ここが今日のメインだよ。

 ⑤の解説

⑤「さては、扇のにはあらで、くらげのななり」と聞こゆれば

浪越考
浪越考
5の「くらげのななり」と発言したのは誰だろう?
在川葵
在川葵
それは、中納言の発言に反応してるんだから、もう一人の偉い人でしょ?
浪越考
浪越考
本当にそうかな?

敬語に注目してみて、何か気づくことはない?

ちなみにこの「聞こゆ」というのは謙譲語だよ。

在川葵
在川葵
うーん。。
在川葵
在川葵
あ、謙譲語だけで尊敬語「給ふ」がない!!
浪越考
浪越考
その通り。ということは?
在川葵
在川葵
えーと、どういうこと?
浪越考
浪越考
「聞こゆ」というのは謙譲語で「〜に申し上げる」という意味だよ。

すると、この「くらげのななり」を聞いていた人は偉い人だけど・・

在川葵
在川葵
そっか、尊敬語がないから「くらげのななり」を言った人は偉い人じゃないんだ。

でも、これまで出てきた人は中納言ともう一人の偉い人の二人だけだよね・・

浪越考
浪越考
うん、そこまで考えることができれば上出来だよ。

そう、この発言は前に出てきた二人のどちらのものでもなく、作者(=清少納言)のものだと考えられているんだ。

在川葵
在川葵
へえー、作者も登場しちゃうんだね。
浪越考
浪越考
ここは、「こんな骨見たことない!」と豪語する中納言に対して、作者が「誰も見たことないくらいの骨ならそれはクラゲの骨なのでは?(=クラゲに骨はないから)」と冗談を言ったシーンなんだね。

敬語を分析することで、「偉い人とそうでない人の動作を見分けることができる」んだ。

だから敬語は読解上、とても大切なんだよ。

在川葵
在川葵
確かに、敬語で主語が分かる!
浪越考
浪越考
これは現代語で考えるととても分かりやすい。

例えば、電車で二人の会話が聞こえてきたとする。

一方は敬語でもう一方は敬語なしだ。

たとえ姿が見えなくても、敬語を手がかりにすれば、どっちがどっちに話しかけたかが分かるね。

それと一緒だよ。

在川葵
在川葵
なるほど〜。先生が言っていた「敬語が読解に役立つ」の意味、分かりました!

まとめ

浪越考
浪越考
それでは今日のまとめをしておこう。

<読解に役立つ敬語>

・尊敬語が使われていれば、主語が偉い人

・謙譲語が使われていれば、動作をされる側が偉い人

・敬語がなければ、偉い人ではない。

浪越考
浪越考
これで敬語編が終わったね。

あとは、実際の文章の中でどんどん練習を積んで行こう。

在川葵
在川葵
いよいよ残るはあと一章ね。
浪越考
浪越考
うん。最後は和歌の修辞法だよ。次回からまたがんばっていこう。
在川葵
在川葵
はい!

◯次回はこちら→【最終章突入】まずはこれをしよう。和歌の読解の基本を紹介!

 

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