古典文法講座

【第2章最終回!】比況の助動詞を紹介+助動詞のまとめ

さあ、今日でいよいよ助動詞編が終わります。

最後の助動詞は、「ごとし」という一風変わった助動詞を紹介します。

では、ラスト1個、頑張っていきましょう!

比況の助動詞「ごとし」

<比況の助動詞「ごとし」>

◯文法的意味

  •  比況(〜のようだ)
  •  例示(〜のようだ)

◯接続

連体形・体言・助詞「が」「の」

「ごとし」は現代語でも時々使われるので、けっこうなじみのある助動詞かもしれません。

漢文にも「〜が如し(ごとし)」という句法があって、それと使い方は同じです。

「比況」とは、その”状況”を何かに例える(比喩)ということです。

現代語に訳す際には、「(まるで)〜のようだ」とするのが一般的です。

もう一つの文法的意味に「例示」があります。

訳し方は比況と同じなのですが、使うニュアンスが違います。

「ケーキやパイのような洋菓子は・・」といった時に用いられる、この「〜ような」がまさに例示の用法です。

多くの場合、「〜などの」と言い換えることが可能です。

 接続が特殊

この「ごとし」の何が変わっているかと言えば、「が」や「の」に接続するということです。

助動詞とは、基本的には動詞にくっついて意味を追加する働きをするのですが、この「ごとし」は動詞を伴わずいわば単体で使えます。

とはいえ、連体形にも接続することはあるので、全く動詞を伴わないわけではないのですが、ちょっと変わったやつだなということは覚えておきましょう。

 「ごとし」の判別法

これは、サクッと文脈判断でいきましょう。

「〜ような」と当てはめてしまうと、どちらの用法か分からなくなるので、比況なら「まるで〜」、例示なら「〜などの」といった別の表現を当てはめて確認しましょう。

それほど判断に困るケースはないはずです。

助動詞の総復習

さて、これですべての助動詞が終わりました。

厳密には、「上代の助動詞」といって、奈良時代以前に使われていた助動詞もあるのですが、それは出てきた時に確認する程度でOKなので、晴れて助動詞をクリアしたといって良いでしょう。

お疲れ様でした^^

これまで助動詞を文法的意味のまとまりで学んできましたが、最後に、接続する活用形順に並べ直して、もう一度確認しておきましょう。

文法書などに載っている「助動詞一覧表」は接続する活用形の順番になっているので、こちらの並びで覚えてもいいですし、もちろん、紹介してきたように意味ごとのグループで覚えてもOKです。

いずれにせよ、ここでもう一度全ての助動詞を振り返っておきましょう。

(それぞれの助動詞をタップすると、以前の解説ページに飛ぶことができます。必要に応じて、復習がてら見てみてください。)

 未然形接続の助動詞

  1.  る、らる→受身、可能、尊敬、自発
  2.  す、さす、しむ→使役、尊敬
  3.  む、むず→推量、意志、勧誘、適当、仮定、命令
  4.  →打消
  5.  →打消推量、打消意志
  6.  まし→反実仮想、ためらいの意志、実現不可能な願望、推量
  7.  まほし→願望

 連用形接続の助動詞

  1.  →過去
  2.  けり→過去、詠嘆
  3.  つ、ぬ→完了、並列、強意
  4.  たり→完了、存続
  5.  けむ→過去推量、過去の原因推量、過去の伝聞・婉曲
  6.  たし→願望

 終止形接続の助動詞

  1.  らむ→現在推量、現在の原因推量、伝聞・婉曲
  2.  べし→推量、意志、可能、当然、命令、適当
  3.  まじ→打消推量、打消意志、不可能、打消当然、禁止、不適当
  4.  なり→伝聞、推定
  5.  らし→推定
  6.  めり→推定・婉曲

 連体形接続の助動詞

  1.  たり→断定
  2.  なり→断定、存在・所在

 特殊な接続

  1.  →完了、存続  ※サ行未然形、四段已然形に接続
  2.  ごとし→比況、例示  ※体言、連体形、助詞「が」「の」に接続

 

全部で28種。

もちろん、現段階で全てを覚えられていない、という人もいると思います。

学校の予習、定期テスト、模試、参考書などなどあらゆる機会を生かして、確認するクセをつけておけば、自然と身についていきます。

全部覚えなきゃ次に行けない、と心配することはありませんよ。

文法というのは、使うためにあります。

どんどん実践を積んで、その中で慣れていきましょう。

次章は・・?

さて、これで第2章「助動詞」が終わりました。

改めて、おつかれさまでした!

これで、あなたは、過去や未来といった時間軸、非現実の世界、周囲の環境の推定、自身の意志、他者への敬意など実にさまざまなことを表現することができるようになりました。

あなたの古語の世界は、助動詞編を通して、何次元にも広がっています。

とはいえ、言葉が通じるためには、「誰が何をどうした」の主語や述語、目的語といった対象をはっきりさせる必要があります。

加えて、「なので」「けれども」といった、論理を構築してはじめて相手に情報を届けることができます。

古文では、こうした言葉に秩序を与えるのが「助詞」の役割です。

次の章では、この助詞を扱っていきたいと思います。

第3章「助詞」スタート!→【新章突入!】古典文法の助詞をシリーズで徹底解説していきます

 

◯助動詞編のはじめは

助動詞完全攻略!まずは全体像をつかもう【古典文法】

◯用言編のはじめは

動詞の活用をわかりやすく説明【古典文法の復習はここからスタート】

お問い合わせ